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「ヘイトスピーチ解消法」成立1年だが、現場の「街頭宣伝に変化はない」
2017年5月30日6:06PM
5月10日、参議院会館において「ヘイトスピーチ解消法成立1年」の院内集会が行なわれた。
同法の成立に多大な貢献をした有田芳生参議院議員は「法務省の人権擁護局長は休日にも拘わらずヘイトデモの現場に来ていたと聞いた」と個々の意識の高まりを評価する一方、同じ法務省がヘイトスピーチに関するパンフレットを作っておきながら、ほとんど広報宣伝をしておらず、その冊子の内容にも不備があることを指摘した。「『(パンフには)ヘイトスピーチに明確な定義はありません』と書かれていましたが、それこそヘイトスピーチ解消法を読めば理解できます」。北村聡子弁護士は施行後1年間のヘイトスピーチの実態を「デモは確かに減った。しかし、街頭宣伝については変化がない」と発言。「調査結果を受けて以前に戻ってしまうのではないかと思う」と危惧を表した。
法律ができた意義は大きく、かつてはまるでレイシストを守っていたかのような自治体や警察の対応が施行後は大きく異なってきたことはさまざまな地域で確認されている。しかし、それらもまた、全国的に統一がなされた対応ではなく、今後は有機的なつながりを持つことが課題として挙げられた。
主催した「人種差別撤廃基本法を求める議員連盟」の小川敏夫会長が冒頭のあいさつで「国民全体の意識の中で(差別やヘイトが)絶対に許されないことだということを高めていく上でも効果的だと考える」と語っていたが、その意味でも各省庁が一体となっての広範な啓蒙活動が必要と言えよう。
先般、Jリーグ川崎フロンターレのサポーターが韓国のチームとの試合において旭日旗を掲げたことで、AFC(アジアサッカー連盟)より「人種差別を禁止する倫理規程」に違反したものとして1万5000ドルの罰金が課された。Jリーグもヘイトデモで必ず振られるあの旗がどういう意味を持つかを認識してほしい。
(木村元彦・ジャーナリスト、5月19日号)
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