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クルド人男性の症状悪化も東京入管は強制収容解かず
2017年7月3日12:34PM
「このままだと死んでしまう。助けて」。トルコのクルド人居住地域出身のV・A(46歳)さんは、充血した目、青白い顔でこう訴えた。V・Aさんは統合失調症であるにもかかわらず、難民不認定処分に対する異議申し立てが棄却されたとして、3月14日に東京入国管理局(港区)に収容された。常備薬を飲めないことと収容のストレス、体に合わない薬を飲まされ体調が急激に悪化している。
親族や弁護士によると、そもそもV・Aさんが統合失調症を発症したのは、1995年に来日した後、2000年にオーバーステイで検挙され、東京・十条と茨城・牛久の入管に2年以上収容されたことが原因だ。その後病院に入院したが、薬が合わず苦しんだ。05年にはトルコに帰国したものの、クルド人を取り巻く環境の悪化から、再び13年12月に日本を訪れた。14年10月に一時的に収容を解かれる仮放免となった後は、トルコ帰国時から飲み始めた薬を服用し、体調は比較的安定していた。
しかし、3月に再び収容。5月17日には入管から家族に突然電話があり、V・Aさんを収容先から病院に強制入院させると告げられたという。家族は翌18日に入院の同意を確認された。だが病院の薬や治療が合わず、V・Aさんの体調はさらに悪化。29日に退院したが再び収容され、入管職員の監視下で体に合わない薬を飲むことを余儀なくされているという。V・Aさんは、「一番の薬は外に出ること(解放)です」と訴えた。
担当の大橋毅弁護士は、「入院をさせる時には事前に家族の同意が必要。事後の確認だったのなら、問題」と指摘する。また、「V・Aさんが病気であることを知りながら入管は収容したのに、病気に対処できていない。症状が悪化しているので今すぐ収容を解くべき」とした。しかし東京入管は、「個々の事情を考慮した結果、収容に耐えうる、大丈夫だと判断して収容している」との見解を示した。
(本誌取材班、6月23日号※一部修正あり)
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