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裁判を受ける権利を侵す 再審請求中の死刑執行に非難の声

2017年8月31日11:12AM

金田勝年法相(当時)が命令した7月13日の死刑執行に抗議する集会(主催=死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90など5団体)が同27日、東京都内で開かれた。執行された2人のうち1人は再審請求中、もう1人は自ら控訴を取り下げて裁判員裁判による判決が確定していた。ともに憲法32条の裁判を受ける権利を侵すとして、執行を強く批判した。

死刑を執行された西川正勝さん(執行時61歳)は、5月にした再審請求について裁判所から意見を求められ、回答の準備中だったという。金田法相は記者会見で「再審請求を繰り返す限り、永久に死刑執行をなしえない」から「棄却されることを予想せざるをえないような場合は、死刑執行を命ずることもやむを得ない」と説明した。

しかし、二審の弁護人だった小田幸児弁護士によると、西川さんは再審の請求理由としてMCT118型と呼ばれるDNA鑑定のおかしさを挙げていたようだった。この手法は精度が低く、足利事件(再審無罪)では冤罪の原因になっており、「この部分の再審の可能性はあった」と指摘した。

安田好弘弁護士は、(1)再審請求中の死刑執行は控えるのが刑事訴訟法の趣旨、(2)同一理由での再審請求は禁止されており永久に執行できないわけではない――と金田法相に反論した上で、「再審の可否は裁判所が判断するのに、政策論で執行したのは三権分立に反する越権行為だ」と非難した。

もう1人の住田紘一さん(執行時34歳)の事件は被害者が1人で、本人に前科がなく、上級審で減軽される可能性があった。弁護人が控訴したが、翌月、本人が取り下げて死刑が確定した。

一審の主任弁護人だった杉山雄一弁護士は「過去の最高裁判例に照らしても上級審で改めて厳密に審査されるべきだった」との声明を寄せ、死刑事案では必ず高裁や最高裁の審理を受ける「必要的(自動)上訴制度」の導入を訴えた。

(小石勝朗・ジャーナリスト、8月18日号)

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