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Jリーグ京都サンガの新スタジアム建設に巨額の税金支出 住民が府を提訴
2017年9月28日12:41PM
サッカーJリーグの京都サンガの本拠地として、京都府が亀岡市に建設を予定している球技専用スタジアム「京都スタジアム(仮称)」について8月31日、亀岡市民(高向吉郎氏ら14人)が、「費用対効果の算出方法に誤りがある。公金の違法支出」などとして、京都府(山田啓二知事)を京都地裁に提訴した。
スタジアム計画はJR亀岡駅の北側の遊休地に建設されるもので、観客席が2万1610席の大型施設。総事業費は167億円。府の負担分は147億円で予算化された。立候補していた5市町から府が亀岡市を選んでいた。建設に対して住民らが6月に監査請求したが8月に入って府の監査委が請求を棄却していた。
訴状によれば(1)京都サンガの1試合当たりの入場者を1万人と見積もっているがJ2に降格した2011年からの平均動員数は5000人から7000人しかない。見積もりは根拠がなく過大(2)スタジアムは大規模公園ではないのに、国交省の「大規模公園費用対効果分析手法マニュアル」をスタジアム建設に適用するのは地方自治法に違反する(3)世界でも岡山県の旭川水系、吉井川水系と京都府の桂川水系にしかいない天然記念物で絶滅危惧種の淡水魚アユモドキの生息に工事が悪影響を与え文化財保護法などに違反する、などとしている。府は「スタジアムが新しくなれば集客効果が出る。アユモドキを保護する対策は専門家の会議で了承された」と反論している。
原告代表の高向氏は「市民憩いの場である大規模公園に適用する分析マニュアルを、ほとんどプロが使うだけのスタジアムに適用し、巨額の税金を支出するのは不当」と話す。原告らは亀岡市に用地取得費の支出差し止めを求めた住民監査請求も棄却され、新たに同市を提訴する予定。亀岡市の人口は9万人に満たない。東京五輪に便乗し、「そこのけスポーツ様が通る」のスポーツ公共事業に歯止めをかけたい。
(粟野仁雄・ジャーナリスト、9月15日号)