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原子力規制委は「甘い審査」、東電に柏崎刈羽原発を運転する「資格」なし
2017年10月25日5:26PM
原子力規制委員会は、4日、東京電力柏崎刈羽原発6・7号機が新規制基準に「適合」しているとする審査書案を了承。審査書案は、11月3日までパブリック・コメントにかけられている。
今回、注目されたのは、福島第一原発事故を起こした東電が、柏崎刈羽原発を運転する「資格」があるのかということだった。
東電は、福島第一原発事故後、メルトダウンを公表しなかったなど、その隠蔽体質が指摘されている。柏崎刈羽原発の審査では、緊急時対策所が基準地震動に耐えられないことを隠していた。財政的には公的資金の注入で破綻を免れているのが実態だ。
しかし、規制委での議論は精神論に終始した。
7月10日の臨時会合では、田中俊一委員長(当時)は、「福島第一原発の廃炉を主体的に取り組み、やりきる覚悟と実績を示すことができない事業者に、柏崎刈羽原発の運転をする資格はない」等との文書を示し、厳しく指摘。これを受け、東電は、廃炉や安全性の向上に取り組む「覚悟」や「決意」を書き連ねた「回答書」を提出。具体策は一切書かれていなかったが、規制委は事業者の「適格性」の検討結果に添付し、運転開始前に認可される保安規定に盛り込むこととした。通すことを前提とした甘い審査だ。
東電の「資格」以外にも、柏崎刈羽原発には問題が山積している。とりわけ、敷地内の断層に関しては活断層である可能性を新潟県の専門家グループが再三指摘しているが、原子力規制委は、耳を傾けようとはしなかった。
柏崎刈羽原発の電気は首都圏で消費される。東京都は東電の主要株主であり、福島からの避難者が最も多く生活している。小池百合子東京都知事は「原発ゼロ」を「希望の党」の公約に掲げ話題を呼んだ。が、これまで具体的な取り組みはなく、本気度は疑わしい。
新潟県では、脱原発の県内世論に押されて誕生した米山隆一知事のもと、「事故原因」「健康と生活」「避難」の三つの委員会での検証が行なわれており、注目される。
東電も国も、柏崎刈羽原発の再稼働にではなく、福島第一原発事故の実態を見据え、事故収束と被害者の救済に全力を注ぐべきであろう。
(満田夏花・FoE Japan、10月13日号)
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