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“シロアリ”百合子の本音とは(西川伸一)
2017年10月29日2:42PM
「男社会の永田町……リセットできるのは、女性だけ!」の見出しにつられて、『女性自身』10月17・24日合併号を買ってしまった。小池百合子東京都知事が9月27日に自らを代表とする「希望の党」を結党した。その2日後に小池氏にインタビューした記事が載っている。
それによれば、男社会の永田町で女性議員が役職に就こうと思ったら、男性議員たちに優しく声かけし、会食では接待役を務めるのだという。「男性ばかりの執行部が人事を決めてしま」うから、彼らの心証をよくする必要があるのだ。「お酌して回っていなかったのは私と山東昭子先生(略)くらいだったかも」と小池氏は振り返る。さらに、彼女たちが役職を射止めると、男性議員から強い嫉視(しっし)を浴びることになる。
小池氏は男のくだらない嫉妬渦巻く政界を巧みに遊泳し、環境大臣や防衛大臣、自民党総務会長などの要職を歴任した。一方、彼女には「シロアリ」という陰口もついて回った。彼女は日本新党から参院議員に初当選して以降、新進党、自由党、保守党と渡り歩いた。これら政党はすべてシロアリに柱をかじられたかのように崩壊していった。
さすがに自民党ならば被害は受けまいと思っていた。ところが、小池氏は自民党を出て都知事に当選するや、今年7月の都議選では「都民ファーストの会」なる地域政党を立ち上げた。これで多くの自民党都議を落選に追いやった。自民党とて“シロアリ”百合子の餌食になったのである。
そして、9月28日に安倍晋三首相が「自己都合」解散に打って出ると、“シロアリ”は民進党に襲いかかった。同党の前原誠司代表との密談で彼に首相の座を約束したかどうかは知る由もない。だが、民進党はあっけなく彼女率いる「希望の党」の軍門に降った。“シロアリ”党がつきつけた政策協定書に「鼻をつまんで署名」して、同党の公認を得た民進出身の前衆院議員もいた。
危うく“シロアリ”の魔の手から逃れた枝野幸男前衆院議員らは、立憲民主党を結成した。人々の意趣返しのように、同党のツイッターのフォロワー数が既成政党のそれを超えてぐんぐん伸びている。10月10日午前6時時点でそれは17万を超えた。
さて、10月22日に衆院総選挙を迎える。結果を想像することがこんなに怖い総選挙ははじめてだ。「安倍やめろ!」はもちろんだが、“シロアリ党”が都議選のように大化けすると、ついには日本全体を右へとかじり倒しかねない。
「都政が大きく変わったように、女性のリーダーが国を大きく変えることもあるでしょう。その環境づくりのために、国政を“リセット”する必要があるのです」。小池氏はインタビューをこう結んでいる。はて、小池知事になって都政は大きく変わったのか。とまれ、“シロアリ”百合子の本音は女性であることを隠れ蓑に、自分の栄達を図ることなのだろう。すりかえを見誤ってはなるまい。ある高名な政治学者がこっそり教えてくれた。小池氏に会った人はその傍若無人ぶりに例外なく彼女のことを嫌いになると。
共産党が小選挙区候補者の取り下げを大胆に進めている。英断だ。立憲民主党、共産党、社民党が共倒れせず躍進することで、「保守二極化」の悪夢を阻止してほしい。
(にしかわ しんいち・明治大学教授。10月13日号、一部敬称略)
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