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提案した新潟選出の自民党議員は、地元には“職務怠慢” 質問時間割合変更は野党軽視の暴論
2017年11月27日1:25PM
文部科学省の大学設置・学校法人審議会が11月10日、加計学園獣医学部新設を認める答申をしたのを受けて、14日に衆院文部科学委員会を開いて質疑を行なうことになった。しかし、同委員会野党側筆頭理事の川内博史衆院議員(立憲民主党)は、与党側が提案した質問時間割合の変更に反発。「5対5」を求める与党と、「野党8対与党2」の維持を求める野党と折り合いがつかず、流会となった。
質問時間変更問題の発端は、総選挙後に石崎とおる衆院議員(新潟1区)ら自民党若手議員が森山裕国会対策委員長と松本純国会対策委員長代理に申し入れをしたことだ。その理由を石崎氏は、ブログでこう綴っていた。
「(5年間の国会運営で)若手議員に質問時間が回ってくることはほとんどありませんでした。1回も質問時間が回ってこない議員が、『仕事をしていない』と週刊誌に叩かれることもありました。若手も国民の代表者であり、地域で聴いた国民の声を国政に届け、諸政策に反映させていくことは極めて重要な議員活動の一つであるにも関わらずです」
これに対して立憲民主党の枝野幸男代表は「議院内閣制では政府与党が一体となって法案や予算を事前に十分に議論している。全く論外で、議院内閣制の基本を分かっていない」と批判したが、まさに正論だ。先の通常国会で与野党が対決した「テロ等準備罪(共謀罪)法案」では、自民党の部会に法務官僚が出席して事前審査(議論)を実施。部会は非公開であったが、メディアに公開して若手議員が法案の問題点を明らかにする仕事ぶりを発信できた。与野党国会議員で“主戦場”が異なることを無視した暴論にすぎないのだ。
【原発安全対策置き去り】
しかも「柏崎刈羽原発」の立地県新潟が地元の石崎氏は、地域の課題を諸政策に反映させる職務をしているとは言い難い。というのは総選挙中に、石崎氏の応援演説で現地入りした石破茂元防衛大臣から問題発言が飛び出していたのに放置していたからだ。
「『テロ対策はもっときちんとしないといけない』というのは、私は防衛庁長官(第68・69代長官を歴任、その後第4代防衛大臣)の時からずっと言っていること。原発を民間警備会社やお巡りさんが守っている国は(日本以外には)ないからね。『原発テロ対策はきちんとやらないといけない』と思っています」「(再稼働を止めて稼働中の原発も停止する考えについて)そうしたら、どうやってこの国のエネルギーをまかなっていくのかという問題になる。電気料金がどこまで上がるのかもわからない」(10月15日の新潟市での街宣後に筆者が直撃したときの発言)。
しかし、総選挙後、石崎氏は自民党の部会で問題提起(原発テロ対策強化法案の準備など)しなかった。米山隆一新潟県知事は8日の会見で、筆者の質問にこう答えたのだ。
――(石崎議員を含めた)新潟県選出の自民党国会議員から「今の原発テロ対策が不十分だから強化するべきではないか」とか知事と意見交換したり、(党の)部会で取り上げたりという話はお聞きになったことはないのでしょうか。
●米山知事「特段ありません」。
――(希望の党から出馬・落選した)若狭勝さんは自民党国会議員時代に「原発テロ対策が不十分だ」「原子力規制委員会の審査は甘い」ということを自民党の部会で発信なさっていたのですが、石崎さんはじめ自民党の地元国会議員からそういうことを聞いたことはないのでしょうか。
●米山知事「自民党の部会が何をしているかは分かりません。少なくとも(地元の自民党国会議員から)個別に言われたことはない」。
職務怠慢とはこのことだ。石崎氏が総選挙後に地元のために真っ先にすべき仕事は、自民党や首相官邸の“御用聞き”のような質問時間変更提案ではなく、原発テロ対策強化(自衛隊がすぐに原発防護で出動できる法整備など)なのではないか。国民の生命や財産など二の次で保身しか頭にない安倍首相(自民党総裁)と若手議員は見事に重なり合うのだ。
(横田一・ジャーナリスト、11月17日号)