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情報公開指針案機能するか 原発輸出支援でパブコメ
2017年12月8日11:14AM
日本政府が100%出資する国際協力銀行(JBIC)や日本貿易保険(NEXI)は、日本企業が海外で行なう原発事業に公的金融支援を行なう前に、事業者に対して情報公開を求める内容の指針案を策定した。12月4日まで一般からの意見公募にかけている。
立地・建設計画などの開示を求める指針案は、JBICおよびNEXIが原子力事業への融資や付保等の意思決定を行なう前に、事業実施者等が「立地及び建設計画」「使用済み燃料および放射性廃棄物管理計画」「環境影響評価」などを公開していることとした。指針にそった情報公開がなされていない場合は、融資等を実施しないこともありえる。指針の不遵守に関する異議申立も受け付ける。
JBICとNEXIは、指針策定にあたり10回もの公開の協議会合を開催。NGOや企業の意見を受け付け、透明性の高いプロセスを目指した。
しかし、指針案には未だにさまざまな問題が残る。開示要求項目が例示にとどまり、不十分な情報公開でも許してしまいかねない。
日本政府は原発輸出を推進するため、JBIC/NEXI経由で公的金融支援を行なう方針だ。原発はリスクがきわめて高く、民間銀行だけでは担いきれない。このため、たとえば、JBICや民間のメガバンクによる協調融資に加え、NEXIによる融資補償などの支援が想定されている。このような公的資金を使った支援そのものが、健全な経営判断を損なう。
さらに、事業の安全確認は、内閣府内に設けられた検討会議が行なうことになっているが、形式的なものにすぎない。相手国の条約の加入状況や体制を確認するだけだ。JBICとNEXIは原発以外では支援事業の安全を審査しているが、原発事業だけは政府任せだ。
今回の情報公開指針が機能するのか、原発輸出への公的支援の説明責任が保てるか、注目される。
(満田夏花・FoE Japan、11月24日号)