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加害者家族の支援考えるセミナーを開催 性犯罪の捉え方に地域差

2018年1月9日5:04PM

人権擁護の対象に「犯罪加害者の家族」も、と訴える阿部恭子氏。(撮影/小宮純一)

犯罪加害者の家族を対象とした相談や同行支援を行なう組織を、全国で初めてNPO法人として設立したWorld Open Heart(阿部恭子理事長、仙台市)が毎年、人権週間に行なっているセミナーが12月7日、東京・新宿区であった。

2008年の組織立ち上げ以来、条例違反から強かんに至るまで約300件(再犯、冤罪含む)の性犯罪加害者の家族からの相談に応じてきたという阿部さんが講師を務めた。

「事件が報じられるたびに、親の育て方、教育がなっていないからだ――という議論が起きるが、WOH(前掲)は仮に加害者を過去に虐待していた保護者でも支援対象とする」と強調した。

また、性犯罪が厳罰化された今年の刑法改正については「全国からの相談に乗っていると、ジェンダーやセクシャリティなどの考え方には触れたこともない男尊女卑の文化が、依然として日常生活に根付いている地方がある。被害に遭った女性が短いスカートを穿いていたからだ、と話す加害者の親もいる。性犯罪に対する意識の地域間格差は大きく、その意味でも厳罰化は当然だろう」と述べた。

これまでの活動を通じた実感として「性犯罪の加害者を駆り立てているのは依存症というより劣等感だと思う」とも。「ごく普通に日常生活を送っていても、実は自分に自信がない。そういう自己否定の感情を弱者への性暴力で埋めようとする。自己を保つための暴力で、弁護士からの勾留中の働き掛けが重要だ」(阿部氏)

同会は加害者家族会を仙台、東京、大阪で開いているが、性犯罪グループの場合は、親と配偶者に分けて開催する。家族間の関係性が異なるからだという。阿部氏は「特に子どもは絶対にケアと支援が必要。『保護者やきょうだいが犯した犯罪に巻き込まれた子ども』という捉え方を各分野で共有すべきだ」と提言した。

(小宮純一・ジャーナリスト、12月15日号)

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