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埼玉県議会「原発の再稼働を求める意見書」可決に怒りの声 柏崎刈羽再稼働への圧力か

2018年1月30日11:49AM

「意見書撤回」「勝手に決めるな」と怒りの声をあげデモ行進する市民。1月10日、さいたま市内。(撮影/薄井崇友)

昨年の埼玉県議会12月定例会で可決された「原発の再稼働を求める意見書」に怒りの声があがった。

この意見書は、国に対してエネルギーの安定供給や経済効率性の向上に原発の稼働は不可欠だとして「原子力規制委員会により世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた原発の再稼働を進めるよう強く要望する」と、昨年12月22日に自民党と県民会議の賛成多数で可決されたもの。

1月10日、「埼玉県議会の『原発再稼働を求める意見書』採択に抗議する市民の会」など5団体と個人約150人が、埼玉県さいたま市のJR浦和駅前で集会を開いたのち、県議会議事堂までデモ行進し抗議文を県議会議長宛てに提出。その後、県庁で会見した。

抗議文は、「福島第一原発事故の収束がまったく見通せない中で、このような意見書を可決することは被災地を無視したあまりにも無責任なものである」「『世界で最も厳しい水準の規制』との、『原発神話』はすでに崩壊している」と抗議し、意見書の撤回を求めている。

埼玉県平和運動センターが作成し、9日までに計3130人及び141団体が賛同している。

会見では、呼び掛け人で同センター副議長の金子彰さんが「原発のない電力消費地の埼玉県が、リスクを原発立地県に押しつけるこの意見書に怒りを覚える。決して許されない」と指摘。原発立地県の茨城県東海村の相沢一正さんは「議員は県民の安全を考える立場なのに国の側に立った意見書だ」と。新潟県刈羽村の武本和幸さんは「いま新潟には柏崎刈羽原発を動かそうとする圧力がある。この意見書もその一つでは」と懸念を示した。被災地の福島県大熊町の木幡ますみ町議は「このような意見書を出すなら最終処分場を埼玉にと申し出てほしい」と。同県郡山市の蛇石郁子市議も「再稼働はあり得ない。福島の声なき声をくみ取ってほしい」と訴えた。

この意見書の提案者の一人で、自民党埼玉県議団の田村琢実政調会長は「昨年10月に県内の団体から要望を受け、自民党県議団が出すべきと判断した。野党も12月初めには、この議案のタイトルは知り得たはずだ」と。自民党本部からの要請ではないかと疑念を問うと、否定し「独自に行なった」と回答した。12月22日の県議会でこの議案に反対討論をした、日本共産党の金子正江県議は「恥ずかしい中身だ。意見書の中身が事前に分からなかった。福島県の被災地を視察しているが、再稼働なんてとんでもない。他の都道府県に悪影響を及ぼすことを強く懸念する」と、共に電話取材に答えた。 意見書はすでに、埼玉県より衆参両院議長や首相、経済産業大臣らに送付されている。

(薄井崇友・フォトグラファー、2018年1月19日号)

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