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大学非常勤教職員雇い止め問題 東大組合など東北大を告発
2018年2月8日4:58PM
大学の非常勤教職員の雇い止め問題で新たな動きが起きた。今年3月末で約800人を雇い止めする方針の東北大学が1月11日、労働基準法違反で仙台労働基準監督署に刑事告発された。告発したのは東京大学教職員組合と首都圏大学非常勤講師組合だった。
労働基準法では就業規則を改正する際、労働者の過半数を代表する者の意見を聞くことが定められている。しかし、東北大は非常勤職員の契約期間を5年以内とする就業規則の改正を2014年と16年に行なった際、非常勤職員と講師を除いて過半数代表選挙をしていた。
この問題の背景にあるのが13年施行の改正労働契約法。5年以上同じ職場で働く非正規労働者が希望すれば無期雇用に転換しなければならないが、東北大は労働契約法を潜脱する目的で違法に就業規則を改正したと指摘されている。
なぜ東大教職員組合と非常勤講師組合が告発したのか。
東大も東北大と同様に、非常勤教職員の雇用期間を5年上限とする就業規則を制定。8000人いる非常勤教職員の大半を今年4月以降雇い止めしようとしていた。この問題は本誌(2017年9月8日号)でも報じた。その後、東大は非常勤講師の意見を聞かずに就業規則を改正した違法性などを組合から指摘され、去年12月、5年上限での雇い止めを撤回した。
私立大学では早稲田大学が非常勤講師を5年上限で雇い止めしようとしたが、名誉教授や非常勤講師組合から違法性を指摘され、4年にわたる闘争を経て撤回した。
東北大でも職員組合が希望者全員の無期転換を求めているが、大学側は雇い止めを強行する姿勢を崩していない。二つの組合は「内部の人間が立ち向かうのは難しい。これは東北だけの問題ではなく全国の問題」として、異例の告発に踏み切った。
東北大学は告発されたことについてコメントしていない。
(田中圭太郎・ジャーナリスト、2018年1月26日号)