除草剤グリホサートと健康被害、
因果関係を示唆する結果が続々
天笠啓祐|2018年2月17日6:23PM
除草剤の主成分であるグリホサート。2Aにランクする発がん物質ですが、
がん以外にも健康への影響が大きいと、世界各地で実験や検査が行なわれています。
WHOが発がん物質にランキング
いま、世界的に除草剤グリホサートの危険性が問題になっている。
グリホサートは、世界でも日本でも最も売れている除草剤「ラウンドアップ」の主成分。遺伝子組み換え作物の栽培地域では、栽培面積の広がりに加えて、除草剤が効かない耐性雑草の増加により使用量が増え続け、健康被害が拡大してきた。
2015年3月、WHO(世界保健機関)の専門家機関のIARC(国際がん研究機関)が、グリホサートを発がん物質「2A」にランクした。
IARCのランク付けは1~4の4段階で、2はAとBの二つに分けられており、2Aにランクされると発がん性が強く疑われることになる。
さらに今年に入り、英国で新たな動物実験の結果が報告された。ごく微量のグリホサートが、脂肪肝疾患を引き起こすというもの。
実験は、英国ロンドン大学キングスカレッジのマイケル・アントニオらが行なった2年間の長期実験で、人が飲む飲料水の濃度に匹敵する4μg/㎏/日というごく微量のグリホサートを摂取し続けただけで、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)になった。
これは通常は肥満の人に見られる疾患で、症状としては、疲労、衰弱、食欲不振、吐き気、腹痛、血管への影響、黄疸、浮腫などがある。
この論文は査読を経て『サイエンティフィック・レポート』誌オンライン版2017年1月9日号に掲載された。研究チームは肝臓を分子レベルで検査したが、そこでは細胞の損傷、重度の脂肪肝疾患、細胞に壊死などが見つかっており、人への影響が懸念されると述べた。