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日米地位協定改定で国会論戦は野党連携が活発化 首相は“占領国”状態に無自覚
2018年2月19日6:17PM
稲嶺進前名護市長は敗退したが、年末年始に沖縄で頻発しているヘリ事故で、日米地位協定改定を求める動きが活発化している。渡具知武豊新市長を推薦した公明党金城勉県本部代表は当確直後、「海兵隊の県外国外移転と日米地位協定改定を求める立場は維持」と辺野古新基地反対不変を強調。沖縄県議会は1日の臨時会でヘリ事故に対する抗議決議と意見書を採択し、普天間基地の即時運用停止や学校や住宅などの上空での飛行禁止を求めると同時に、事故の再発防止に不可欠な「日米地位協定」の抜本的改定も要求したのだ。
こうした動きに野党は呼応。前日の1月31日には立憲民主党の枝野幸男代表が初の記者会見で日米地位協定改定に関してこう述べた。
「米軍には相次ぐヘリの事故へのしっかりとした対応、中長期的には日米地位協定の改定をより強く求めるべきだ。」
枝野氏は通常国会の代表質問でも、次のように問い質していた。
「米国の不適切な運用などに対し私たちは日米地位協定の改定を含め、ヘリの飛行中止などを、さらに強く米国に求めること、特に辺野古の基地建設についてはいったん立ち止まって沖縄の皆さんの理解を得る方策を模索することを求めます」
野党第二党の玉木雄一郎希望の党代表も枝野氏と足並みを揃えた。
「(米国に)再発防止を申入れるだけでは事態は解決しません。憲法9条改正の前に(米軍ヘリの事故の)日本の調査や捜査を制限している『日米地位協定』を優先して見直すのが先決ではないか」
すると、参院での代表質問にも飛び火。共産党の小池晃書記局長も代表質問で次のように迫った。
「ヘリの不時着事故でも県の飛行訓練中止要求に耳を貸さず、訓練を再開した。米軍の横暴の根底にあるのが『日米地位協定』で、抜本的改定が必要だ」
しかし安倍首相からは、腰の引けた答弁しか返ってこなかった。「地域住民の安全確保は大前提だ。最優先の課題として日米で協力して取り組む」と決意表明をしたものの、諸悪の根源である日米地位協定の改定については「今後とも事案に応じた最も適切な取り組みを積み上げていく」という曖昧な消極的答弁に止まった。しかも、歴史的偉業を達成したかのような自画自賛もしたのだ。
「安倍政権の下で地位協定締結から半世紀を経て初めて二つの補足協定の策定が実現した」
それほど誇るべき補足協定の策定なら、米軍ヘリ事故が頻発するはずもない。いまだに日本が米軍の危険な訓練を規制(低空飛行禁止など)をする権限を持っていない“占領国”状態にあるのに無自覚としか言いようがないのだ。
【対等な日米関係を訴える】
安倍政権の対米従属ぶりについて、名護市長選告示日前日(1月27日)の野党合同街宣に駆けつけた小沢一郎自由党共同代表は、対等な日米関係の構築を訴えた。
「沖縄県民の中にも『米軍やアメリカ政府が勝手なことを続けていても何も政府は言えないのか』という怒りが積もり積もっている。日米の対等な関係を作り上げることで初めて基地問題も、ヘリ事故問題も解決することができる」
立憲民主党の川内博史衆院議員も同日の囲み取材でこう強調した。
「米国に言うべきことを言わないといけない。日本政府が地位協定改定について『話し合いたい』と言えば、拒否できないはずだ。(改定をしたドイツやイタリアで可能な)米軍機の訓練規制を外務省や防衛省や官邸や政治家が言わないといけない。米国に物を言わない精神性こそが『日米関係は対等でない』ことにつながる」
ヘリ事故根絶に不可欠な「日米地位協定」改定に安倍首相は及び腰。「対米追随の安倍政権対オール沖縄・野党・公明」という構図は強まるばかりだが、名護市長選で自公推薦の渡具知氏は“二枚舌状態”。当選翌5日の会見で、米軍機の住宅地上空の飛行禁止への意欲は口にしたが、日米地位協定改定について聞いても無言のままだったからだ。
(横田一・ジャーナリスト、2018年2月9日号)