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「家庭教育支援法案」の問題点訴え、院内集会 自民党の狙いは24条改憲か
2018年2月21日1:02PM
自民党が今国会で提出を目指している「家庭教育支援法案」の問題点を訴える院内集会が、1月29日、衆議院議員会館で開かれた。主催の「24条変えさせないキャンペーン」の呼びかけ人、角田由紀子弁護士は、戦前の家制度と決別し、徹底して個人の尊重・尊厳を謳う憲法24条に対立するものとして同法案を位置づけ、その射程上に24条の改憲もあることを示した。
「戦前戦中、日本の家族は天皇制―家父長制の末端としてその仕組みを支えた。戦争を支える人を再び作ろうとするのがこの法案。人間は国の資源ではない。子どもたちが自由で健やかに安心して暮らせる社会を作ることが行政の仕事なはず」(角田氏)
続いて憲法学の清末愛砂さんも、社会は家族単位ではなく、個人の人格の尊重と尊厳に基づいて形成されるべきと主張。
「『尊重』は自己決定権であり、『尊厳』は侵されてはならない基本的人権のこと。憲法13条が前者を、24条が後者を謳っている。この二つの違いを認識した上でともに語ることが重要だ」と述べた。
たとえば深刻な社会問題である児童虐待事案も、公権力が児童保護のため家庭に介入する必要が生じる場合「児童虐待防止法」などの法整備の拡充などで十分対応できる。一方、家庭教育支援法は、一般の家庭や子育てに、公権力が「支援」の名で介入しようとするもの。虐待を受けている子どもたちの被害が「親を大切に」の価値観の中で不可視化される可能性もある。
児童虐待の現場を多く取材してきたルポライター杉山春氏も「家族なら、親ならちゃんと子どもを育てなければいけない、という規範が、むしろ親を追い詰めている」と述べ、子育てを家族だけに押しつけない支援の必要性を述べた。
すでに、熊本県など8県5市の地方自治体で家庭教育支援条例が制定されている。問題点を認識し、法案提出阻止に連携を強めていきたい。
(岩崎眞美子・ライター、2018年2月9日号)