植村隆名誉毀損訴訟の第11回口頭弁論で指弾 西岡力氏の捏造決め付けは「確信犯」
2018年2月22日11:55AM
「被告西岡は確信犯」「『慰安婦』問題を報道した原告を攻撃するため、捏造記者扱いした」。1月31日、元『朝日新聞』記者植村隆氏が西岡力・元東京基督教大学教授と文藝春秋を東京地裁に訴えた名誉毀損訴訟の第11回口頭弁論で、植村氏代理人の穂積剛弁護士は西岡氏を「悪質」と指弾した。植村氏が書いた元日本軍「慰安婦」金学順氏の証言記事を「捏造」と主張する根拠(前提事実)が間違いだらけで、かつ西岡氏がそれを知りながら「意図的に虚偽の指摘を続けている」というのだ。
「捏造」表現を巡り、西岡氏側は「意見・論評」で表現の自由の範囲内であると主張している。植村氏側は今回、かりに「意見・論評」であっても、名誉毀損の記述をしても免責される(1)前提事実の重要部分が真実である「真実性」(2)真実と信じる相当な理由がある「真実相当性」――の2要件を満たしていないと論証した。
たとえば『正論』2014年10月号の論文だ。西岡氏は、植村氏が1991年8月11日の『朝日』大阪本社版記事で「『女子挺身隊』の名で戦場に連行され」と記述した点を「本人が語っていない経歴を勝手に作って記事に書く、これこそ捏造ではないか」と非難。その根拠として、証言テープでも、3日後に金氏が名乗り出た記者会見でも述べていないと断定した。だが、植村氏側は「テープは植村氏すら持っておらず、証拠提出もされていない。どう確認したのか」と指摘。韓国紙『東亜日報』『中央日報』と『北海道新聞』が、金氏の会見での「挺身隊」発言を報じており、「捏造」の前提事実は誤りで真実性がないとした。
西岡氏は著書で「韓国では、当時は『挺身隊』というと、慰安婦のことだと誤解されていた」と記述。植村氏側は、両者の「混同」を知る西岡氏が、金氏だけ「挺身隊」と語っていないと「過失で信じ込んだ」ことはあり得ず、真実相当性もないと主張した。
(長谷川綾・新聞記者、2018年2月9日号)