考えるタネがここにある

週刊金曜日オンライン

  • YouTube
  • Twitter
  • Facebook

【タグ】

埼玉県知事特別秘書に「ヤミ手当」の疑い
条例無視して月15万円上乗せ

三宅勝久|2018年3月13日11:25AM

埼玉県知事特別秘書の採用にあたって、条例の規定がない管理職手当を「保障する」と書かれた1975年当時の公文書。(撮影/三宅勝久)

高額の給料額が問題視されている埼玉県知事特別秘書(伊地知伸久氏)をめぐり、条例の規定がない手当分を「管理職手当分」などとして給料月額に上乗せしていたことが埼玉県の説明で判明した。

埼玉県の条例は、知事特別秘書の月額給料額を「一般職の職員の例により知事が定める額」と規定、手当については、期末手当・地域手当・住居手当・通勤手当を支給できると定めている。

一般職職員の給料額は別の条例で決めており、最高額は10級21号の55万8700円だ。ところが、知事特別秘書の給料額は64万8200円で、一般職の最高額より約9万円も高い。

なぜ一般職職員にはあり得ない給料額なのか、埼玉県にただしたところ次の説明が返ってきた。

〈給料月額64万8200円=行政職9級15号49万8000円+管理職手当分13万300円+勤勉手当分1万9900円〉

「管理職手当分」と「勤勉手当分」計15万円あまりを9級15号給に加えた結果だというのだ。条例上、管理職手当や勤勉手当を払うことはできない。だから払わないのではなく、給料額に上乗せして“補填”したということらしい。

月額15万円の給料上乗せに連動して期末手当も増え、年間にすると約250万円の支給増加になる。これを含めた年間総支給額は1158万円である。

「ヤミ手当」というほかないこの悪習はいつ始まったのか。

情報公開請求で調べてみると、1975年に作られた文書に次の記述がみつかった(■は黒塗り部分)。

「管理職手当が支給されないのでその分を保障する……(■)■+管理職手当分(■×■)=■円」

給料上乗せによる「ヤミ手当」の手口は40年以上前からの伝統だったのだ。なお埼玉県人事課は「違法性はない」と苦しい釈明を続けている。

(三宅勝久・ジャーナリスト、2018年3月2日号)

【タグ】

●この記事をシェアする

  • facebook
  • twitter
  • Hatena
  • google+
  • Line

電子版をアプリで読む

  • Download on the App Store
  • Google Playで手に入れよう

金曜日ちゃんねる

おすすめ書籍

書影

増補版 ひとめでわかる のんではいけない薬大事典

浜 六郎

発売日:2024/05/17

定価:2500円+税

書影

エシカルに暮らすための12条 地球市民として生きる知恵

古沢広祐(ふるさわ・こうゆう)

発売日:2019/07/29

上へ