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東京・中野区長を住民提訴
「平和の森公園」価値減少
樫田秀樹|2018年3月14日5:21PM
2月16日、東京都中野区の住民5人が田中大輔区長を相手取っての住民訴訟を提訴した。請求の趣旨は「被告が『平和の森公園』の価値を減少させ、同公園の適正な管理をしないことが違法だと確認する」というもの。
区立平和の森公園は、中野刑務所跡地の整備をめぐり、区と区民とが協議して「緑のひろばと避難場所」にすると合意して1985年に開園した公園だ。その公園で、今年1月15日、中野区は1万7787本(間伐を除く)の樹木を対象に伐採を開始した。公園の樹木の3分の2が喪失することに住民は強い憤りを覚えたのだ。
ことの始まりは2015年3月。田中区長は突如「公園に体育館と陸上競技場を新設する」と公表。児童野球場も成人野球場に拡幅することも明らかになった。公園の約3割がそれら施設につぶされることに今回の原告の一人である岩村信弘さんは強い危機感を覚え、同年6月に市民団体「緑とひろばの平和の森公園を守る会」(以下、守る会)を結成した。
岩村さんは、「区が五輪を口実にそれら不必要な大工事を誘致することに憤っています」と説明する。確かに、区はホームページで「東京五輪で盛り上がる機運を区民のスポーツ振興に生かすための公園再整備」と明言している。
守る会は、1万筆を超える反対署名運動や区民アンケート、学習会などを積極的に展開したが、区は姿勢を変えなかった。
そして驚いたのが、16年4月に55億円と説明された建設費が4カ月後の8月には108億円と倍増したことだ。守る会はその根拠を尋ねたが、区は「必要な施設です」との説明に終始した。
そして1月15日に伐採が始まるに至り住民は住民訴訟に踏み切った。岩村さんは「公園は区民の財産。区長にその財産を勝手にする権利はない」と闘い抜くことを語った。
(樫田秀樹・ジャーナリスト、2018年3月2日号)
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