東京・杉並区小中一貫校建設問題で虚偽説明
区長と業者の親密関係影響か
三宅勝久|2018年4月2日11:38AM
同年12月の入札で高円寺に本社を置く白石建設を中心とする企業体が落札、受注・契約した。都の建築許可が17年1月に出るのを前提に、同月着工、2年後に工事を終えて19年4月に開校する予定だった。
ところが都は建築審査にあたって、杭の深度や強度をはじめ多くの疑問を指摘、設計の修正を余儀なくされる。
許可が出たのは3カ月も遅い17年4月18日だった。
建築許可が出るまでの間、現場の中学校では、ときおり測量など軽作業のために工事業者が来た。住民有志は紙製のプラカードを持って「区は住民と話し合え」などと肉声で訴えた。
激しい衝突はなく区職員が来ることもなかったが、17年2月に奇妙な事件が発生する。路上で住民と話し合っていた白石建設の幹部社員が、突如自分から転倒(目撃者の話)、「暴行を受けた」と警察官を呼んだのだ。後に嫌疑なしで不起訴となる。
続いて、建築許可が下りて着工を控えた5月にも事件がおきる。
白石建設が住民らに対して、妨害禁止の仮処分申請を出したのだ。肉声で抗議するなどした行為が工事妨害だというのだ。驚くべきことに、「妨害」の証拠として出された住民の写真は、工事説明会で業者が盗撮したものだった。
区は黙認したうえ、名前や住所などの個人情報まで提供した疑いがあるが、「(盗撮は)業者が必要に迫られてやったのだろう」と問題にしなかった。
結局、東京高裁は、車の前に立ちはだかるなど10日間の行為を「妨害」と認定、工事車両への接近を禁止する命令を出した。