東京・杉並区小中一貫校建設問題で虚偽説明
区長と業者の親密関係影響か
三宅勝久|2018年4月2日11:38AM
【崩れた「住民の妨害」説】
こうして工事が始まったが、半年が過ぎた昨年11月、区は突如として19年4月の開校は無理だとして1年延期を発表する。
その理由はこうだ。
〈住民の妨害のせいで工事が遅れたので工期を延期したい旨事業者から申し出があった。区は妥当だと判断した〉(趣旨)
建築許可が出る前の、しかも裁判所の事実認定では最大10日間の穏やかな「妨害」で、どうして4カ月も遅れるのか。筆者の取材に区(伊藤克郎施設整備担当課長)は当時次のように説明した。
〈建築許可前でもプールの解体工事はできる。妨害で解体工事ができず工程が次々に遅れた〉
しかしこの説明もついに崩れた。プール解体工事は建築許可の後に行なうよう区が指示していた事実が、文書で裏付けられたのだ。富田琢区議(共産)が3月12日の予算特別委員会で暴露した。
この期に及んで区はなお「住民の妨害」説を撤回していない。
不自然だが、田中良杉並区長の公私混同ぶりを考えれば理解できなくもない。
私的な活動に公用車を使用、白石建設など区と利害関係のある事業者とゴルフコンペに参加、政治資金パーティに事業者を呼ぶ――といった問題が指摘されている。
「お友だち」の業者を喜ばせるために、工事の遅れの責任を住民になすりつけようとしたのではないか。
なお田中区長は6月の区長選に出馬を表明、最大会派の自民党は独自候補を立てないというやり方で強力に「応援」する見通しだ。
(三宅勝久・ジャーナリスト、2018年3月23日号)