【憲法を求める人々】田鎖麻衣子
佐高信|2018年4月3日6:36PM
「そもそも、統計的には、殺人事件はどんどん減っているんです。2016年の殺人事件の死亡被害者数は、前年より1人減っているんです。
また内訳をみると、過半数は親族間の殺人なんです。暴力が内向きなんですよね。
ニュースで大きく取り上げられるのは、通り魔的な事件なので、あたかも外で起きているような錯覚が起きるんですが、外よりも、内のほうが危険」
「監獄人権センター」事務局長の田鎖のこの言葉は衝撃だった。
しかし、すぐになるほどと思い、外交と同じだなと考えた。外交はすなわち内政だとはよく言われる。いくら「外から」に備えても「内」がまともでなければ話にならない。「暴力が内向き」という指摘も、軍隊に酷似している。しばしば、それは外よりも内の批判勢力の鎮圧に使われるからである。
その真理を見通して日本国憲法第九条は生まれた。田鎖は高校生の時に、杉原泰雄著『憲法読本』(岩波ジュニア新書)を読んだ。大学に入り、「ちょっと変わった社会問題を考える」ようなサークルに入って、代用監獄のことを勉強しようと思ったが、本来の監獄の方がとても気になってしまった。
つまり、彼女は大別すれば“中の人”になるのである。