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暴言前市長が不出馬の西宮市長選
約72億円の庁舎建設の是非は

粟野仁雄|2018年4月12日10:50AM

規模を拡大して建て替えられる西宮市立中央体育館。(撮影/粟野仁雄)

自宅に取材に訪れた新聞記者に「殺すぞ」と暴言を吐くなど、物議を醸した兵庫県西宮市の今村岳司前市長(45歳)が不出馬表明の市長選挙は4月15日(4月8日告示)に投開票される。

同市に住む経済学者で兵庫県立大学名誉教授の北野正一氏は「今村前市長が何を残したのか、誰が市民のための候補者かをよく見て投票してほしい」と呼びかける。

北野氏が問題視する一つが西宮市の中央運動公園の跡地利用。同公園の中央体育館は国道171号沿いにあり、阪神・淡路大震災では多数の市民が避難したが老朽化で建て替えが決まっている。しかし、今村前市長は同公園に約147億円かけて、プロバスケットボール「西宮ストークス」の拠点として5000人収容規模のアリーナを建て、プロアスリートを養成する全天候型トラックにする方針を打ち出していた。議会は承認したが、3月18日に開かれた住民説明会では「立体駐車場やアリーナ建設が優先されテニスの壁打ちの場も撤去されるのはおかしい」などの意見が出た。北野氏は「子どもたちの遊びや大人のスポーツや憩いの場が特定の団体中心の施設になるのはおかしい」と訴える。今村氏は2014年、当時の市長による市立中央病院や中央体育館を阪急今津線沿線のアサヒビール工場の跡地に移転させる計画を「土建行政」と批判して当選したが、就任後は県立西宮病院と統合して建てることを主張するなど豹変した。

市長選には前副市長や元兵庫県議ら6人が立候補を表明している(3月23日現在)。北野氏は「マスコミは今村氏の非常識な言動ばかり報じ、彼がどういう行政をしたかを報じていない。体育施設の他、約72億円かけての高層第二庁舎の建設計画など、結局はハコモノ行政の典型でした。新市長選びはよく見極めてほしい」と訴える。

税金で運用される施設が、気が付けば市民のための存在でなくなることを納税者は監視すべきだ。

(粟野仁雄・ジャーナリスト、2018年3月30日号)

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