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3度目の安倍政権支持率急落

黒島美奈子|2018年4月13日5:20PM

安倍政権の支持率が急落している。本稿の締め切り日の3月26日までに公表された各報道機関の世論調査は、ほとんどの調査で支持率が30%台となり、不支持率は40%台から高いところで50%台に上っている。

2012年12月から5年以上にわたる長期政権の支持率が、不支持率を大きく下回ったのは今回で3度目。調査によって時期に多少の差はあるが、15年6~9月、17年7~9月と今回だ。

最初の支持率急落のきっかけは安全保障関連法の強行採決。衆院憲法審査会で参考人として意見を述べた自民推薦を含む学者3人全員が「違憲」とするような法案だった。また「武力行使」の解釈が答弁する閣僚ごとに違う曖昧さで、法として未完成と言わざるを得ない状態を露呈。それにもかかわらず強行採決に踏み切る与党の姿勢に、国民の批判が集中した。

二度目は、「共謀罪」として知られる「テロ等準備罪」法の成立をめぐり、存在する文書を「廃棄した」と当時の防衛相が答弁した陸自日報問題。この時期、政権への不支持率が急上昇の最中にあった東京都議会選挙では、自民党が歴史的大敗を喫した。

そして今回。財務省による森友文書の書き換えはもちろん、その直前には裁量労働制をめぐる厚生労働省のデータに異常値が数百カ所見つかった。同時期には、自民議員から説明を求められた文部科学省が、前川喜平前事務次官が実施した授業に関して異例の問い合わせを地元の教育委員会に繰り返していたことも判明。3省に共通する「忖度」の姿は、「安倍1強」の弊害をまざまざと見せつける。

本欄のコラムを担当するようになった4年前、初めて取り上げたのもその一端だった。

沖縄県の八重山地区(石垣市・竹富町・与那国町)で起きた「教科書問題」だ。「育鵬社」版教科書を採用するため、同地区内の教科書選定方法が意図的に変更された。これに異を唱えた竹富町に、当時の文部科学大臣政務官が同一採択を迫り、文科相は同町への教科書無償配布を打ち切った。

国が、子どもたちの学ぶ権利を盾に、教育行政を脅す前代未聞の事態に驚いた。14年4月4日付の本欄コラムは、当時、文科省初等中等教育局長だった前川氏が政治介入を疑問視した言葉を引用して、役人でさえ(異常さを)「認めている」と結んだ。

その前川氏が3年後、政権支持率急落のきっかけとなった「加計学園問題」を告発する一人となったのは必然だろうか。今年1月、来県した前川氏は講演で「実は自民党の議員の方が知り合いが多い」と明かした。

しかし、八重山教科書問題について「(竹富町を無償配布対象外としたのは)理不尽」「安倍政権に移行し(中略)、育鵬社の教科書を事実上強いる姿勢に変わった」(1月6日付『沖縄タイムス』)と振り返り、道徳の教科化にも強い違和感を示していた。現政権のかつてない強権ぶりへの前川氏の危惧が見て取れた。

同じ危機感を抱く国民は少なくないはずだ。一人一人の実感こそが社会を変える。離島の小さな町をはじめ沖縄が感じた理不尽な政治の姿を、本欄コラムを通して伝えようと努力してきた。その思いが一片でも届いたなら幸甚です。

(くろしま みなこ・『沖縄タイムス』記者。2018年3月30日号)
※黒島美奈子さんの『週刊金曜日』政治コラム執筆は今回で終了です。

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