電通、就活生に「セクハラ面接」
事実認め株主に謝罪
片岡伸行(編集部)|2018年4月26日3:39PM
過労自殺、上司によるセクハラなどが相次いで問題化した広告代理店最大手の「電通」で、また「セクハラ面接」疑惑が浮上した。日本の広告とメディアを牛耳る電通で何が起きているのか。
「セクシュアルハラスメントと言われてもやむを得ないような発言があった」「本当に申し訳なく思っています」
この謝罪発言があったのは3月29日に開かれた株式会社電通(本社・東京都港区東新橋、山本敏博代表取締役社長)の第169回定時株主総会の席上。議決権を持つ株主4万2251人、議決権を行使する株主は9905人いるが、同日の出席者は午前10時の開会時で500人ほどだったという。
「厳正な処分」検討
質疑応答の後半に、個人株主の吉田太郎さん(仮名)から次のような質問が飛び出した。
「電通の面接で不適切な発言をされたと、ある〈政治アイドル〉が発言していたが、そのような事実はあるのか」
これに対して冒頭の謝罪発言をしたのが、後述する高橋まつりさん過労自殺事件(2015年12月)当時に労務などを担当していた中本祥一副社長(67歳)=今期で退任=である。中本副社長は次のように答えた。
〈まだ現在調査を継続しておりますが、ご指摘の通り、まあ、発言の真意がどこにあったかはわかりませんが、面接を受けた方がセクシュアルハラスメントと言われてもやむを得ないような発言があったということは、現時点での調査では否定できないという風に認識しています〉
〈このように不適切な発言があったことは本当に申し訳なく思っています。繰り返すことがないようにしていきたいと思っています。加えてまだ現在、調査をしておりますので、発言内容等、もう少し正確に捕捉した上で、社の規定の懲戒に該当する場合には、懲戒委員会を開催し、厳正な処分をするつもりであります。以上、ご回答申し上げました〉(抜粋)
中本副社長はセクハラ発言の事実を認め、謝罪したのだ。
ちなみに、同日夜に配信された「時事通信」の記事では、〈セクハラ発言「調査中」=昨春の入社面接 電通〉との見出しがついていた。しかし、前述の発言どおり、事実を認めて謝罪しているのだから、見出しは「セクハラ発言認め謝罪」とするのが妥当ではないか。「時事通信」は「共同通信」に次いで第4位の大株主(電通の株式5・75%所有)。慣例的に役員も送り込んでいる、いわゆるステークホルダー(利害関係者)である。
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