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再春館製薬所トップがパワハラか 
バド部元監督・今井氏による告発文書を入手

週刊金曜日オンライン取材班|2018年5月2日5:39PM

会社への「帰属意識」と「感謝」の念

今井彰宏氏が書かされた「研修を終えて」。手書きで7枚にも及ぶ。(撮影/週刊金曜日オンライン取材班)

「私が貴社を退職する理由は、貴社によるパワハラとそれによる病気です」

文書はこう断じている。金銭的不正が指摘され、2017年1月にバドミントン監督を解任された今井氏は工場勤務を言い渡された。その期間、毎日レポート作成を命じられたという。最初の3カ月は毎日、会社常務との面談を受けなければならなかった。ほとんどノイローゼ状態に陥っていた今井氏が書いた「まとめレポート」の一部が、記事冒頭のものである。

関係者によると、常務は「まとめレポート」に満足せず、今井氏に書き直しを求める。その際、常務が今井氏の「まとめレポート」を独自に「整理」した資料も取材班は確認した。今井氏が6カ月間の「研修」を経て会社への「帰属意識」と「感謝」の不足を克服し、部員の会社への「帰属意識」を高め「感謝」の心を育てるのが重要テーマと気づいた、などとした上、会社への「帰属意識」と「感謝」を部に浸透させる具体策を示すよう今井氏に迫るものだ。

今井氏は「心底疲れ切って」いたため、書き直しを断った。常務はレポートと面談を週1回ででも継続しようと求めたが、今井氏は「もう恐ろしいです。会社が怖いです」と断ったという。

本当に金銭的不正があったのならば、ルールに基づいた処罰をすれば済むことである。道義的な問題は残るだろうが、道義的な問題をクリアするには会社に対し「帰属意識」や「感謝」の念を強くしなければならないとは、お門違いだろう。

うつ状態にあったという今井氏が書いたレポートには、次のようなことも書かれている。

「チーム運営にしても、年間約2億円もの経費、これはいったいどこから念出(ママ)され、誰がどうやって、どのようにして生み出してくれていたのか、それは会社です」

とにもかくにも会社のお陰でスポーツができていることを強調している。今井氏の心の奥底には、会社が求めるような人間像に自分がなれば念願の監督復帰が叶うかもしれないという一縷の望みもあったろう。しかし、なぜ再春館製薬所は今井氏にこれほどまで会社に忠誠を誓わせようとしたのか。

今井氏と旧知で再春館製薬所バドミントン部の内部事情も知る人物は、前出の内容証明を読んでこう感想を述べる。
「今井さんと、今井さんを慕う選手・コーチたちはいわば“今井軍団”なんです。我が道をいく今井さんのバドミントンへの情熱と指導力に福島や廣田など有望選手が集まってできたのが今井軍団。再春館製薬所はこの“今井軍団”をなんとか“会社軍団”あるいは“再春館軍団”に変えようとしていた。今井さんが“再春館人”になれば今井さん中心のチームではなく会社中心のチームに変貌させることができる。だから今井さんの金銭問題は会社にとって今井軍団を崩壊させる好機でもあった。もちろん会社側はそんな意図はなかったと否定するでしょうけれど」

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