情報公開で発覚
辺野古埋め立ての海底は
超軟弱地盤だった
土岐直彦|2018年5月9日1:15PM
沖縄防衛局が沖縄県名護市で進める辺野古新基地建設の埋め立て工事をめぐり、マヨネーズのように超軟弱な海底地盤が広範囲にあることが判明。工事を阻む大きな要因になると波紋を広げている。
元土木技術者で抗議船船長の北上田毅氏(沖縄平和市民連絡会)が情報公開請求し、3月に地質データを入手。4月6日、京都市内で「辺野古新基地建設はいずれ頓挫する」と題し講演した。
新基地建設の埋め立ては、総面積205ヘクタールのうち約160ヘクタール。今回公表されたのは2014年から2年間、埋め立て予定海域の24カ所で実施した海底ボーリング調査と音波探査による地質データ。問題の軟弱地盤は大浦湾側(東側)の深い海域の護岸建設予定地だ。
たとえば「B-28」という地点では、水深30メートルの海底が厚さ40メートルにわたり、「マヨネーズ並みの柔らかさ」の地層で、地盤強度を示す「N値」がゼロだった。これは、強度を測る「標準貫入試験」の用具(重りと試験杭)をセットしただけでズブズブ沈む値。「B-26」「B-36」「B-41」の地点でもN値ゼロ層が確認された。大型構造物の基礎地盤にはN値50以上が必要という。
この海域の護岸は、基礎に捨て石を厚く敷き詰め、その上に数千トンに及ぶ巨大なコンクリートの函・ケーソンを設置する工法だ。ここで超軟弱地盤は想定されておらず、北上田氏は「幅300メートル、延長1800メートルをごっそり地盤改良する、不可能に近いような工事が必要。莫大な費用を要し環境破壊が深刻」と指摘した。
ケーソン護岸の構造変更と地盤改良には、知事への設計概要変更申請が必要。知事が承認しないと、その時点で工事は頓挫すると北上田氏は見通す。一方、国側は護岸延長が進む西側で7月にも土砂投入を開始する構えで、新基地建設阻止は最大の危機を迎えている。
(土岐直彦・ジャーナリスト、2018年4月20日号)