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「TOKYO1351」のこと
小室等|2018年5月9日8:00AM
シリアで化学兵器が使われたとされるニュースが流れ、トランプは「残虐で凶悪な攻撃だ。この先、重大な決断を下すことになる」と発言し、周知のとおり本当に米英仏三カ国でシリアを攻撃した。
化学兵器使用が「残虐で凶悪な攻撃」であることに同意する。だがトランプは、広島一四万人、長崎七万人を一瞬に殺害し、夥しい被爆者を生んだ原爆使用は「残虐で凶悪な攻撃」である、ということに同意してくれるだろうか。
「一人の殺害は犯罪者を生み、一〇〇万の殺害は英雄を生む」というセリフは、チャップリンの『殺人狂時代』(一九四七年)だった。
国の下の戦いは英雄も生むが、戦犯の罪で問われたりもする。
それより、絶対に罪を問われない殺人がある、それは死刑。
国家の法の下でおおっぴらに実行される、人殺し。
「あのね。人はね、人を殺してもいいんだよ」って、子どもたちに教えるわけ? それでいいのかな。
何人たりとも、人を殺す権利など持っていいわけがないと、僕は思う。国家による殺人に、僕は加担したくない。
四月三日、東京・下北沢「風知空知」というライブハウスで行なわれた「TOKYO1351 LIVE&TALK vol.5」というイベントに参加してきた。
「TOKYO1351」というのは、二〇一四年ごろから死刑廃止問題に何らかのかかわりを持った人たちが行き合って勉強会を重ね、死刑問題について、必ずしも廃止に偏らずに、まずは問題提起の活動をはじめていこうと、二〇一七年のはじめに立ち上げられた集まり。
五回目になるこのイベント。出演者は、映画『獄友』を作った金聖雄監督と『FAKE』の監督、森達也さん。前半は金監督の映画と冤罪事件を題材にしてトーク。後半は僕が歌って、次にダースレイダー&DJオショウ。
ダースレイダー氏は、ヒップホップミュージシャンでトラックメーカー。トラックメーカーとはヒップホップのバッキングトラックの制作者、要するにヒップホップの作曲家、でいいのかな。“職場”が違うのでよくわからないが、かっこよかった。
司会のジョー横溝さんは、ライター、ラジオDJ、構成作家、インタビュアーとさまざまな顔を持ち、イベントを映像とともに手際よくさばいて、それでも二時間の予定が一時間オーバー。ちなみに「TOKYO1351」のネーミングは、東京拘置所の住所「小菅1?35?1」にちなんでジョーさんが名付けたそうだ。
五回も続いているこんな会があることを知らせておきたかった。
(こむろ ひとし・シンガーソングライター、2018年4月20日号)