京大タテカン不意打ち一斉撤去
京大教授「恥ずかしいやり方」
土岐直彦|2018年5月28日11:45AM
京都大学(京都市左京区)の本部キャンパス周辺の立て看板(タテカン)を規制する規定が5月から施行された。その後も大小のタテカンが並んで学生らが抗議の意思表示をしていたが、13日朝、約40枚が一斉撤去された。
大学正門や周辺では12日まで、「表現の自由や学生の主体性を制限する規制押しつけ」抗議の3~4メートル四方の巨大看板や「立て看板をどんどん立てよう」といった抵抗表現が目に付いた。
教員らでつくる「自由と平和のための京大有志の会」はタテカンならぬ「垂れ幕」(縦180センチ、横125センチ)を掲げた。Tシャツ5枚を洗濯物のように連ね「京大ヲ洗濯致シ候」と墨書したものも。サークル系は見られなかった。
他方、4月30日、「表現者と語り合う立て看板」と題し、規制に抵抗する集い(「立て看規制を考える集まり」準備会など共催)が構内で開かれた。主催者側がまず、「タテカンは京大の文化。それが断ち切られるのは悲しい。世論の力を借りて続けたい」と提起した。
登壇した京大出身の映画監督、瀬々敬久氏は「タテカンは歩きながら見る街の人たちと一体化している。映画監督としては、タテカンのある街には何かドラマがあると感じる。タテカンがないと風景も均質化、そんな街がおもしろいのか」と応じた。美術家の伊藤存氏は「タテカンのクオリティは高い。一つの技術がなくなることの危機感を持つのは当然」と話した。
司会した駒込武・京大教授は「大学は固定観念を取り払い、新たな文化資源を形成するところ。大学当局のやり方はまことに恥ずかしい」と指摘。6月以降、この問題の連続講座を開く考えを示した。
京大広報課はタテカン撤去時期を「お答えできない」としていたが、日曜日に踏み切った。一方で市民の間にはタテカン文化を「守る会」立ち上げの動きが出てきており、この問題は尾を引きそうだ。
(土岐直彦・ジャーナリスト、2018年5月18日号)