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メルスモン製薬雇い止め事件
望まぬ金銭解決押しつけ

片岡伸行|2018年6月5日11:22AM

提訴後に会見する島津葉子さん(左)ら=厚生労働省記者クラブ。(撮影/片岡伸行)

復職を求めたのに「解雇金銭解決」を押しつける労働審判は不当だとして、メルスモン製薬(株)(東京・池袋、船生功一郎代表取締役)から雇い止め・解雇をされた島津葉子さん(51歳)は5月16日、東京地裁に労働審判異議申立をするとともに本裁判を提起した。

14年勤続・19回契約更新の有期契約パートタイム労働者だった島津さんは2017年9月15日付で、無期転換権の発生前にメルスモン製薬から雇い止めにされた。全国一般東京東部労働組合に加入し、団体交渉で撤回を求めると、会社代理人の鳥生忠佑弁護士(東京北法律事務所)は「若手をとりたいから」などと平然と年齢差別的な理由を口にしたという。

島津さんは今年1月29日に復職を求めて東京地裁に労働審判を申し立てた。しかし、東京地裁民事36部(江原健志審判官=裁判官、松本達也審判員、高橋忠明審判員)は5月9日、「労働契約が(17年)9月15日に終了したことを相互に確認する」とし、「本件解決金として300万円の支払」を会社側に求める審判を出した。

提訴後に厚生労働省記者クラブで会見した代理人の河村健夫弁護士(むさん社会福祉法律事務所)は「雇い止めが有効なら解決金を支払う必要がなく、無効なら復職をさせるべきだが、今回の審判はそのどちらでもない。労働審判法20条に違反する疑いがある」と指摘。東京東部労組の菅野存執行委員長と矢部明浩書記次長は「一貫して復職を求めた島津さんが金銭解決を求めたことは一度もない。この審判は請求から逸脱するものであり、無期転換権そのものを骨抜きにする雇い止めを、裁判所が後押しする不当なものだ。また、安倍内閣がもくろむ『解雇金銭解決』を司法の場から側面支援するもので許されない」と批判した。

島津さんも「不当な審判は絶対に認められません」とし、本裁判で争う決意を述べた。

(片岡伸行・編集部、2018年5月25日号)

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