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埼玉県、高額過ぎる知事秘書給与
違法性認定も反省の色なし

三宅勝久|2018年6月12日11:46AM

黒塗りだらけで「開示」された柿沼トミ子知事特別秘書(現自民党埼玉県議会議員)の給料・手当の計算式(2005年3月作成)。(撮影/三宅勝久)

埼玉県が知事特別秘書(伊地知伸久氏)に対して条例の上限額(月額55万8700円)を大幅に超えた違法に高額な給料(同64万8200円)を払っている問題で、県議会予算特別委員会は3月、給与条例主義に反する支給だとして「精査」を求める附帯決議を採択した。現秘書に対する支給の違法性を事実上認定したほか、歴代秘書の給料についても調査せよという内容だ。

条例を制定した県議会が条例違反を指摘した意味は大きい。しかし、県はなおも違法支給を改める様子はない。以下は、筆者と人事課職員のやりとりである。

――給料額が条例の上限を超えている。条例違反では?

人事課 問題ない。一般職職員の給料表をそのままあてはめて使っているわけではない。

――条例で特別秘書の給料額は「一般職の職員の例により知事が定める額」とある。一般職のやり方(給料の決め方)に準じるという意味ではないのか。

人事課 まったくその通りにするというよりは、ニュアンスとしては、たぶん、ルールとかきまりみたいなものがあって、それをほかのものにもあてはめて使おうというときに「例による」なんて書き方をする。

――では特別秘書の給料の最高額(上限額)はいくらなのか。

人事課 最高額は……一般職の職員の、ま、なんていうんでしょう、給与総額(手当込みの額)と……。

――聞いているのは(月額)給料。

人事課 よくわかりました。そうしますと私の説明は、給料というのは知事がきめると。(略)

――知事特別秘書の給料の上限額は?

人事課 そういう質問ですか。

――ごまかさないで。給料の上限額は?

人事課 上限額がいくらかというのは(条例に)書いていない。

――書いていない?

人事課 ええ、読んでいただいたらわかる。(略)

――条例を読んだら上限額は55万8700円だと思うが。

人事課 そういうお話になると、そもそも考え方が違うので話がかみあわない。

【「嫌いな『金曜日』で記事」】

人事課職員はとうとう「話がかみあわない」と逃げた。違法性を認識している証拠だろう。

ところで、附帯決議案を提案したのは最大会派の自民党県議団だが、本気で違法支給をただそうとしているようにはみえない。

というのも、自民党会派の柿沼トミ子議員(元県職員)は、議員になる前の2005年4月、上田清司知事によって知事特別秘書に任用されている。そして当時の給料額を県は非開示にしている。「精査」を求めるのであれば柿沼議員の秘書給料から公表するべきだが、なぜかそれはしない。

柿沼議員の給料を明らかにしないのか――自民党県議団に質問をしたが、この点に回答はなかった。

県も県議会も、わが身かわいさからか、違法な支給、つまり税金泥棒を黙認しているのが現状だ。納税者・主権者をバカにした態度に納得がいかない筆者は、5月16日、情報公開を求める裁判をさいたま地裁に起こした。1972年以降の歴代特別秘書20人分の文書を情報公開請求したところ、給料額をすべて黒塗りにして「開示」した。この黒塗り部分を明らかにせよという訴えだ。当時の給料額がわかれば、過去についても違法性がはっきりする。事件番号は「平成30年(行ウ)第13号」。6月27日11時半に第1回口頭弁論がある。

なお、3月6日の予算特別委員会で自民党の田村琢実議員は、知事特別秘書給与問題について知事に質問をした際、「私の嫌いな雑誌の『週刊金曜日』というところから(笑)、あの……記事が出ていまして」と発言した。「私の嫌いな」は質問の文脈と関係がない。個人的な憎悪感情を公の場で表現した問題発言である。この点についても田村議員に質問状を送ったが無回答だった。

(三宅勝久・ジャーナリスト、2018年6月1日号)

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