籠池夫妻、約300日ぶりに保釈 “国策勾留”を強調
粟野仁雄|2018年6月14日6:42PM
森友学園関連の補助金詐取容疑で昨年7月から大阪拘置所に勾留されていた籠池泰典(65歳)、妻諄子(61歳)両被告が5月25日午後、約300日ぶりに保釈された。
午後8時から大阪弁護士会館で会見。諄子被告は少し痩せたが泰典被告は意気軒高、雄弁ぶりを見せた。 とりわけ妻の冤罪を強調、郵便不正事件の冤罪被害者で厚生労働省元幹部の村木厚子氏を引き合いに「まったくの冤罪、300日の“国策勾留”で人権蹂躙」などと怒りを見せた。横に座る妻が激しく泣きだす場面もあった。
夫妻は小学校建設で工事代金を水増し申告したり勤務実態のない教員名を申告したりして、大阪府と市から計約1億7000万円の補助金を詐取した容疑により詐欺罪で逮捕・起訴されている。泰典被告は起訴内容の一部を認め、諄子被告は全面否認とみられる。
安倍晋三総理や妻の昭恵氏について聞かれたが「為政者というものはしっかりと本当のことを正々堂々と伝達すべき」などにとどめ、
財務省の決裁文書改竄などについては「公文書は国民の財産。絶対にしてはいけない国民への背信」と訴えた。
この日、夫妻は10カ月ぶりに再会、泰典被告が「相思相愛の」とのろけると諄子被告が「またお父ちゃんと一緒になれて幸せでーす」と満面笑みに一変するなど、相変わらずテレビ局を喜ばせるような場面は多かった。しかし、容疑について問われると泰典被告はコメントを控えた。
補助金詐取疑惑は事実なら高額の税金を手にした“巨悪”である。それを棚に上げての首相や妻の昭恵氏への批判は「信頼できない方のおっしゃることですから」と言う安倍首相の印象操作に格好の材料を与えてしまっている。今後、公判や国会喚問などでは籠池氏が自己主張ばかりでなく謙虚な態度を示すことも森友問題で世論を大きく動かす一助になるはずだ。
(粟野仁雄・ジャーナリスト、2018年6月1日号)