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警官による制圧死を撮影していた「警察24時」

宮下正昭|2018年6月28日6:17PM

鹿児島県鹿児島市の繁華街で酔っ払った男性を警官らが取り押さえ、死亡させた。その様子はテレビ番組「警察24時」の取材班が偶然、撮影していた。しかし、映像は警察に押収される。制圧死事件を起こした当事者である警察に貴重な映像が渡ったことは問題でないのか。大手メディアはそのことを報じず、当のテレビ局もだんまりを続けている。

警官らに制圧された男性が死亡した鹿児島市の繁華街路上。(撮影/宮下正昭)

事件が起こったのは2013年11月24日未明。鹿児島市の繁華街・天文館で酔っ払っていた会社員男性(当時42歳)が運転代行の運転手とけんかになっていると通報があり、近くの地蔵角交番から警察官十数人が駆け付ける。

男性は路上で4、5人の警官にうつ伏せに押さえ込まれ、まもなく死亡。死因は胸腹部圧迫による低酸素脳症と認定された。

男性はエレベーターメーカーの社員。この日は土曜(祝日)で、テニスの試合の打ち上げで2次会まで終え、かなり酔っていたようだ。自転車に乗っていたところ運転代行の車と接触したことから、けんかになったらしい。

2人の警官に罰金各30万円

我が子の突然の死の知らせを受けた両親(千葉県船橋市在住)は特別公務員暴行陵虐致死罪で告訴する。捜査は時間がかかった。1年後の14年12月、鹿児島県警は37歳の男性巡査長と34歳の男性巡査を業務上過失致死の疑いで書類送検する。

制圧行為は正当な職務行為だったが、男性の容体変化を確認しないなど業務上の過失があったという判断だった。告訴状では「警察官が首を締めるなど暴行」があったとしていたが、県警は目撃情報や「防犯カメラの映像から」そうした暴行はなかったと結論付けたと、『南日本新聞』(14年12月20日付)は報じた。

しかし、映像は「防犯カメラ」ではなく、テレビ局が撮影したものだったことが、その後わかる。送検を受けた鹿児島地検の桑田裕将検事(当時)が起訴する前に男性の両親を地検に呼び、検察側の判断を説明する際に明かしたのだった。「いわゆる警察24時の取材で某テレビ局が撮影した」として、両親と代理人の弁護士2人にその映像を「内々で」見せたのだ。

このテレビ局の実名と裁判の行方、映像が捜査当局に押収された問題について、6月29日(金)発売の『週刊金曜日』が詳しく報じる。

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