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「吸収合併のような同姓婚はなじまない」
映画作家の想田・柏木夫妻が「別姓確認訴訟」

宮本有紀|2018年7月4日10:49AM

提訴後、東京・司法記者クラブで会見し「個人として対等にやっていこうという僕たちの結婚観に吸収合併のような同姓はなじまない」などと話す想田さん(右)と柏木さん夫妻。(撮影/宮本有紀)

また一つ、新たな「別姓訴訟」が始まる。米国ニューヨーク州法に基づき法律婚をしたが、別姓のため日本で夫妻としての戸籍が作成されないのは法律に不備があるとして、映像作家の想田和弘さんと映画プロデューサーの柏木規与子さん夫妻が6月18日、国に対し婚姻関係の確認と損害賠償各10万円を求め東京地裁に提訴した。

現在、海外で現地法に基づき法律婚をした日本人カップルは、法の適用に関する通則法第24条により日本国内でもその婚姻関係が認められる。しかし現行法の下では、夫婦同姓でなければ戸籍上で婚姻関係を公証することができない。実際、想田・柏木夫妻は6日に東京・千代田区役所に婚姻証書の謄本を提出したが、別姓のため夫妻としての戸籍は作られていない。法律婚であるにもかかわらず戸籍では証明できない現状を弁護団は「法の不備」と指摘。現行法上、2人の婚姻関係を公証する手段は裁判で確認の判決を得るしかないと説明する。

夫妻は1997年に在住のニューヨーク州で結婚。領事館に結婚証書の謄本を提出しなかったのは、96年の法制審答申に選択的夫婦別姓の導入が含まれていたため「すぐに法改正されるだろうと思って待っていたから」と想田さん。「でも20年経ってしまった」と苦笑した。柏木さんは、2001年当時、配偶者ビザの更新を日本の米国領事館で申請したが日本人の係員に同姓でなければ結婚と認めないと言われ、領事に直談判するまでビザがもらえなかったと、不利益を蒙った例を挙げる。「日本で法的に別姓が認められていないからこういう誤解を生む」と想田さん。「法律が不備なために不利益を蒙っているカップルが多くいるのではないか。その方々を代表する気持ちで原告になった」と話した。

現行法の規定で婚姻関係が認められるこの事例で、国がどう判断するのかが注目される。

(宮本有紀・編集部、2018年6月22日号)

想田・柏木夫妻のインタビュー記事はこちら

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