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森友疑惑、またもや隠蔽文書が発覚
安倍官邸が検察に介入か
片岡伸行|2018年7月9日11:39AM
森友学園国有地売却問題で改竄、隠蔽、虚偽答弁をした“実行犯”である財務省と国土交通省との秘密のやりとりを記した内部文書がまたもや発覚した。しかも、そこに書かれているのは「最高裁まで争う覚悟で非公表とする」との徹底した文書隠蔽の意思と、大阪地検特捜部の刑事処分について「官邸も(略)法務省に巻きを入れている」という内閣による検察への介入といった、法治国家の土台を揺るがす記述だった。
これが事実なら忖度どころではなく、立法(国会)、行政(内閣)、司法(裁判所)の三権分立をも踏みにじる権力犯罪の疑いがある。
【逃げ回る鶴田参事官】
この文書は、6月18日の参院決算委員会で辰巳孝太郎参院議員(共産党)が明らかにした。A4判1枚の文書に表題はないが、右上に手書きで〈5/21つるた参事官〉と書かれており、〈応接録については、5/23に13文書とともに出す〉との記述で始まっている。
5月23日は財務省が約3000枚に及ぶ改竄前の決裁文書14文書と、森友学園との「交渉記録」など約1000枚を公開した日だ。
文書はまず、〈近畿財務局と大阪航空局のやり取り記録〉をめぐって、〈役所間のやり取りを公表することにためらいがある〉〈悩ましい〉などと逡巡している様子の窺える文言が並び、そのあとに問題の記述が出てくる。
辰巳議員はこう問うた。
「近畿財務局と理財局のやり取りについては、〈最高裁まで争う覚悟で非公表とする〉。これ非常に生々しいやり取りですよ。最高裁まで争ってまで隠したいものは一体何なのか」
これに対し安倍晋三首相は「真偽のほどもわからない中において、麻生大臣も石井大臣も私もお答えのしようがない。架空の、言わば今の段階ではまったく架空の状況でありますから、お答えのしようがないということでございます」と述べた。「言わば」というのが意味不明だが、事前通告のなかったことに不快感を示した。
辰巳議員は次の問題箇所を指摘。文書にはこう書かれていた。
〈5/23の後、調査報告書をいつ出すかは、刑事処分がいつになるかに依存している。官邸も早くということで、法務省に何度も巻きを入れているが、刑事処分が5/25夜という話はなくなりそうで、翌週と思われる〉
「総理、官邸が法務省に何度も巻きを入れるというのはどういうことなんですか。法務省を通じて検察に官邸が介入しようとしていたということではないんですか」
これに対し安倍首相は「真実かどうかもわからない中でお答えするのは不可能だ」と繰り返した。
この文書にあるとおり、大阪地検特捜部の「不起訴処分」は5月25日の翌週31日になった。
辰巳議員はもう1枚、、安倍昭恵氏付き政府職員・谷査恵子氏による財務省への問い合わせについて、大阪航空局から近畿財務局に確認した電話内容を記した文書(2015年11月12日)も明らかにし、谷氏の問い合わせについて「単なる制度の照会」でなく「森友学園の賃料値下げの要望」だと指摘。石井啓一国土交通大臣と麻生太郎財務大臣に「真相解明に必要」として確認と提出を求めた。
辰巳議員は翌19日、この文書が国交省に存在するか、存在するなら誰が作成したのか、5月21日に「つるた参事官」は財務省と面会をしたのか――の3点を確認する文書を国交省に提出。石井国交大臣は同日の会見で、文書が存在する可能性を認めながら「公表もコメントも差し控えたい」などと、またもや隠蔽する意向を示したが、6月25日の参院予算委で追及されると「どういう対応ができるか検討したい」と修正した。
文書に名前のあったのは、17年7月に国土交通省の大臣官房参事官(人事担当)となった鶴田浩久氏だ。鶴田参事官に事実確認を求めると「文書は見たが、コメントしない」の一点張り。しかし、コメントせずに済む文書の中身ではない。逃げ回るのは文書の内容を認めているに等しいものだ。
(片岡伸行・編集部、2018年6月29日号)
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