東京オリンピック理由に外国人の強制収容増加
各地で入管問題に抗議
崎山勝功|2018年7月13日12:12PM
【牛久は自殺や未遂相次ぐ】
茨城県牛久市では、法務省東日本入国管理センター(牛久入管)で外国人収容者の自殺や自殺未遂が相次ぐ中、外国人難民申請者の支援に当たる「牛久入管収容所問題を考える会」(牛久の会)の会員たちが20日、JR牛久駅、土浦駅前で「世界難民の日」啓発キャンペーンを行ない、市民に向けて牛久入管の運用改善を訴えた。
牛久入管では、今年4月13日にインド人被収容者男性=当時(32歳)=が自殺し、5月には被収容者の自殺未遂が3件起きた。同会によると、自殺した男性は17年4月に来日し、政治的理由で迫害を受ける恐れがあるとして難民申請したが、同年7月に申請が却下され品川入管(東京都)に収容。同年12月に牛久入管に移送され、18年4月12日に仮放免申請却下を知り自殺したという。男性の自殺を受け、共産党牛久市議団と同党の塩川鉄也衆院議員は、5月21日に法務省入国管理局に申し入れをした。
牛久入管では6月にもクルド人男性が、自身の腹部を箸で何度も突き刺す自傷行為が起き、同会の田中喜美子代表は「牛久入管の処遇環境が悪くなっていることの現れ。2年、3年の長期収容者が増え、絶望感の下に自殺や自傷行為が増えている」と指摘する。
牛久入管では、長期収容によるストレスや病気などが絶えないことから、過去10年で自殺(10年に2人)や病死(14年に2人、17年に1人)が発生。17年4月から同入管に週4日勤務の常駐医師1人が配置された。
しかし、相次ぐ、自殺・自殺未遂が示す通り、牛久入管の収容環境は、改善されないどころか、監視・管理体制が強化されるなど、悪化しているとの指摘もある。
さらに、改善が進まない背景には「市民の間にある根強い排外主義が入管当局の姿勢を支えている」との指摘もあり、田中代表は「排外主義を跳ね返す動きを作らないといけない」と訴えた。
(崎山勝功・元『常陽新聞』記者、2018年6月29日号)