【想田和弘・柏木規与子夫妻インタビュー】
吸収合併みたいな夫婦同姓は僕らの結婚観に合わない
宮本有紀|2018年7月17日4:47PM
海外で法律婚をしたカップルは日本の法律でも婚姻関係を認められるが、別姓で結婚した日本人夫妻は婚姻関係が戸籍に記載されない。これは法の不備であるとして6月18日に国を訴えたのが想田・柏木夫妻。「公平で住みやすい社会になってほしくて提訴した」という夫妻に話を聞いた。
――お2人は別姓ですが事実婚ではなくて法律婚なんですよね。
想田 そうなんです。1997年に米国ニューヨーク州の市役所でニューヨーク州法に基づいて結婚したので、別姓での法律婚になります。日本には、外国で結婚した場合には現地の法に則って婚姻できるという法律(文末参照)があるので、僕らは日本でも法律上の婚姻関係にあるんですって。僕は日本では事実婚に相当すると思っていたから、日本に帰ってきたらシングルなんだよってジョークを飛ばしてたんですが違ったんです(笑)。
柏木 日本の法のシステム上、戸籍に登録できないだけだったんです。先日、弁護士にレクチャーを受けて初めて知りました。
想田 日本人同士だと、別姓のまま夫婦としての戸籍をつくれないから、現在の戸籍を提出しても婚姻関係を証明できないんです。婚姻は成立しているのに、日本ではそれを登録する手立てがない。先日、千代田区役所に弁護士さんと行って別姓のまま婚姻届を出しましたが、戸籍創設はできませんでした。
――米国で領事館には報告していたんですか?
想田 いえ、結婚した当時は日本でも別姓法案の審議が始まりつつあって、この調子だったら日本でも1、2年くらいたったら別姓で結婚できるだろうから、領事館に結婚を届けるのは法案が通ってからでいいねと言ってたんです。そしたら20年経ってしまった。
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夫婦別姓確認訴訟とは
法の適用に関する通則法第24条
1項 婚姻の成立は、各当事者につき、その本国法による。
2項 婚姻の方式は、婚姻挙行地の法による。
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想田・柏木夫妻は米・ニューヨーク州家事関係法に基づき婚姻した。婚姻時に「夫婦の氏」を定める国は日本以外にないため、夫妻も定めておらず別姓で婚姻。海外の現地法に基づき婚姻した日本人夫妻は、法の適用に関する通則法第24条により日本でもその婚姻関係が認められる。だが、日本では婚姻関係の公証は戸籍が担うが、夫婦としての戸籍は同姓でないと作成されない。そのため家族法が定める婚姻関係の公証という目的を戸籍が果たせていないという法の不備があるとして、国を相手取り、夫婦としての地位を確認する訴訟を6月18日、提起した。