【想田和弘・柏木規与子夫妻インタビュー】
吸収合併みたいな夫婦同姓は僕らの結婚観に合わない
宮本有紀|2018年7月17日4:47PM
原告は2人だけど……
――いま米国にお住まいだけれども日本で訴訟を起こされた理由は?
柏木 結婚しているのに、結婚しているカップルに認められるべき法的優遇措置が受けられないのはおかしいですよね。いつ日本に帰るかわからないですし、現状のまま日本に帰ってくるとなるとビザ更新以上に不便なことがあると思います。選択の余地があって帰らないというのはいいですが、不具合があるから帰れない、というのはおかしな話だと思いますから。
想田 でもたぶん自分たちだけの問題なら訴訟をやらなかったと思う。僕らは日本から離れているけど、祖国だし、より公平で住みやすい社会になってほしいと思っている。これが認められればその分だけ公平な社会になると思うし、多くの人にとって住みやすくなるだろうし。
自由が制限されるのは他者の権利を制限するときだけというのが日本国憲法の精神です。あの車がほしいからと盗んだら車を持っている人の権利を侵害するから許されない。でも僕らが別姓にしても誰の権利も侵害しない。だったらそのカップルの自由を認めるというのが日本国憲法の個人主義の精神。それを認めずに我慢しろというのは全体主義です。僕らはそういう社会には住みたくないし、個人の自由が最大限尊重される日本社会になってほしいと思っている。だからそれが実現できるように、原告として裁判に参加して貢献したいと思っています。
聞き手・まとめ・写真撮影/宮本有紀(編集部)
(2018年7月6日号)