フジテレビ「お台場みんなの夢大陸」入場者数を偽装か
フジHD株主総会
松沢弘|2018年8月9日6:02PM
セクハラ疑惑も飛び出す
告発の内容は、〈金光専務のセクハラは社内でも関心が高い。専務は、気に入った女性を自分の担当部門に採用、出張時に同宿するなどしてセクハラが疑われている。(被害者)本人は、社内の相談窓口や労働基準監督署に訴えると言ったが、専務が思いとどまらせてしまった〉などというものだ。
筆者は、会社提案の第2号議案(取締役17名選任)の修正動議の中でこの問題を取り上げ、「金光専務には社内の女性に対するセクハラ疑惑があるとの内部告発が寄せられている。それが真実かどうか不明だが、疑惑をかけられること自体が問題だ」と指摘。
また、「フジサンケイグループ代表の日枝取締役相談役は昨年6月まで社長・会長のトップの座に29年間も在職、取締役在任は今年で35年に及び、フジテレビの視聴率低落、産経新聞社の赤字転落を招いた。嘉納会長、宮内社長も日枝氏の秘書上がりで、日枝代表の「院政」支配が続いている。遠藤龍之介取締役(62歳)は、安倍政権が強行したカジノ法について『いよいよ始動する』と評価し、お台場への誘致に力を尽くす、と揚言。清原武彦取締役(80歳、産経新聞社相談役)は、報酬を赤字の産経新聞社に寄付すべきだ」などとして、議案そのものを削除するよう求めた。
さらに、筆者は南直哉監査役(82歳)の再任も「認められない」と第3号議案削除を提起。南氏は原発事故のデータ隠し事件で東京電力社長を引責辞任したが、12年間もフジの監査役を務め、今回再任されると16年間も在任することになる。「南氏が監査役として居座っていることで、フジテレビや産経新聞は原発事故の正確な報道や東電批判ができない。南氏は監査役として『お台場みんなの夢大陸』の入場者数偽装問題を見抜けたのか。自ら身を引くのが最大の責務だ」と、その理由を述べた。
「質疑打ち切り」強行
しかし、嘉納議長はこれらの修正動議について「原案と一括して審議の上、採決する」として、会場内の出席株主の賛否の実数を数えることなく、動員された社員株主ら一部株主の拍手だけで決めてしまい、個別の審議・採決を行なわなかった。筆者が出した嘉納議長の不信任動議に対しても、社員株主らの拍手だけで否決。その後、嘉納議長は質疑打ち切りを画策したが、これに対して株主からの動議が相次いだ。
ところが、嘉納議長は「総会の議題に含まれていないので不適法」と採決を拒んだり、「私は反対」などと述べて社員株主らの拍手だけで否決してしまったりした。
「放送法4条2号(政治的に公平であること)を守る動議」などについても、嘉納議長は「総会の目的と異なるので不適法だ」として採決しなかった。その直後に、嘉納議長は株主の賛否の実数を数えることなく、社員株主らの拍手だけで「質疑打ち切り」を強行、議案の採決に入ってしまった。
総会には1242人の株主が参加したが、質問できたのはわずか12人、その中にはこれまでと同様に社員株主も含まれていた。ひたすら閉会を急ぐ嘉納議長の乱暴な議事運営で、総会は昨年より17分短い2時間41分で終了した。