3選しても安倍政権が
はかない理由
佐藤甲一|2018年8月23日7:52PM
平成になって「最悪」となった西日本の豪雨災害のさなかの7月5日夜、こともあろうか安倍晋三首相が赤坂で「酒盛り」を開いていた。自民党所属の議員たちが毎月1回開いている「赤坂自民亭」と呼ばれる会合で、選挙区の酒や肴を持ち寄って集うものらしい。
一般市民の立ち入ることのできない、人目につきにくい議員宿舎を使って懇親するのは百歩譲って目をつぶるとしても、そこに災害対応に緊張感をもってあたるべき、安倍首相が参加していたことは看過できない。
無神経と堕落の体
翌日の記者会見で菅義偉官房長官は「やるべきことはやっている」と述べて、問題はないとの認識を示したが、これだけの人的被害を出し、はたして「やるべきことをやった」と言い切れるのか。政府が初動対応をもっと緊張感をもって行なえば、より多くの住民の避難が早くから進み、落とさなくて済んだ命もあったはずだ。
さらにはほろ酔い加減で安倍首相を囲む議員たちの写真をネットで公開したのが自民党政調会長代理の片山さつき参院議員や、内閣官房副長官の西村康稔衆院議員だというから、この政権の緊張感のなさ、被災者の困難に向き合おうとしない「無神経さ」に呆れはてる。もはや政権を担う資格はない。
これほどまでに「堕落」した安倍政権だが、率いる安倍首相は9月の総裁選挙への出馬の意向を固めたと言っていい。「蝉のなく頃に」判断を示すと語っていたが、7月22日に延長国会が閉幕すれば、ライバルの石破茂元幹事長が立候補を表明する。安倍首相は西日本豪雨の対応に目処をつけた後、8月下旬頃に出馬表明すると見られる。「3選」はもはや動かしがたいという空気があるが、はたして本当に3選できるのか。
安倍政権を推す観測の根拠は二つある。一つは党内向けで、「選挙に強い」という理由。もう一つは各種世論調査などで安倍政権を支持する理由の上位に連なる「外交成果を挙げている」というものだ(もちろん支持の理由トップは「ほかに代わる人がいない」なのだが)。一つずつ、つぶさに見てみよう。