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沖縄知事選、玉城デニー氏擁立の背景に幅広い民意

渡瀬夏彦|2018年9月12日6:09PM

7月から可能性探る

4月の膵臓がんの手術後も厳しい闘病が続き(肝臓へのがん転移は最近になって伝えられた)、それでも気力を振り絞って政府と対峙し続ける翁長知事。その姿を見てもなお、県議会与党会派には「翁長さんの代わりは、翁長さんしかいない」との声があがっていた。残酷な言葉だと、わたしは思った。

6月23日の沖縄全戦没者追悼式での平和宣言で翁長知事は、米朝首脳会談の実現など、東アジアの安全保障環境の大きな変化を踏まえた上で、こう語った。

「平和を求める大きな流れの中にあっても、20年以上も前に合意した辺野古への移設が普天間飛行場問題の唯一の解決策と言えるのでしょうか。日米両政府は現行計画を見直すべきではないでしょうか。民意を顧みず工事が進められている辺野古新基地建設については、沖縄の基地負担軽減に逆行しているばかりではなく、アジアの緊張緩和の流れにも逆行していると言わざるを得ず、全く容認できるものではありません。『辺野古に新基地を造らせない』という私の決意は県民とともにあり、これからも微塵も揺らぐことはありません」

やせ細った高僧のような姿で、世界へ向け誇り高き宣言をした。嗄(か)れてはいるが強い声の調子、そして目力の強さに、わたしはしみじみ感じ入った。

じつはわたしたち県民有志は、すでにこのころ、玉城デニー氏擁立の可能性を探り始めていた。現に選挙の素人のこのわたしでさえ、玉城デニー氏をよく知る人物と接触し、具体的に「玉城氏に、知事になる意欲はないだろうか」と問うている。7月上旬のことである。

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