辺野古への土砂投入でジュゴンが生息危機に!
土岐直彦|2018年9月13日11:45AM
辺野古新基地建設(沖縄県名護市)の海面埋め立てで、周辺の海草藻場を餌場とする国の天然記念物・ジュゴンの生息に危機が迫っている。8月13日には、海洋生物学者の向井宏・北海道大学名誉教授が京都市内で講演(No Base! 沖縄とつながる京都の会主催)し、国際的な稀少種保護の緊急性を訴えた。
哺乳類で人魚伝説の元とされるジュゴン。インド洋や西太平洋に生息するが各地域で激減、沖縄本島はその北限で環境省は絶滅危惧種1Aに指定する。本島周辺での近年の確認はわずか3頭。うち1頭は工事進展とともに行方不明に。
向井さんは、辺野古・大浦湾は沖縄本島では最大の海草藻場が広がり、ジュゴンの食跡が何カ所も確認されたと説明。森と川、マングローブ、サンゴ礁が育む生物多様性に富む「本当に貴重な海」と指摘した。約260種の絶滅危惧種を含む約5300種もの海洋生物が生息する。
こんな「いのちの海」を国は護岸が完成した個所から土砂を投入すると県に通告。海草藻場やサンゴ礁が“埋め殺し”され、取り返しがつかなくなる。
向井さんは「この海を守らなければ、生物多様性条約(日本は1993年、締約国)も守れない。戦争の基地を造るために、私たちの税金でこの自然を壊そうとする。なのに、ジュゴンの保護予算はゼロ。このままでは絶滅する」と憤った。
(土岐直彦・ジャーナリスト、2018年8月31日号)