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沖縄県知事選、創価学会員のホンネ

渡瀬夏彦|2018年9月29日2:24PM

9月30日に投開票が行なわれる沖縄県知事選で、恒久平和推進を掲げる創価学会員が苦悶している。辺野古新基地建設の是非に言及しない佐喜眞淳候補を応援させられているからだ。新基地反対の玉城デニー候補の街頭演説に参加する学会員もいる。

9月16日、浦添市大平交差点での玉城デニー候補の街頭演説会に三色旗がはためいた。玉城候補と創価学会員とがガッチリ握手をする場面もあった。(撮影/渡瀬夏彦)

9月13日、沖縄県知事選挙告示日の夕刻。県庁前交差点付近での玉城デニー候補の演説会の聴衆の中に、三色旗がはためいていた。「平和(青)、栄光(黄)、勝利(赤)」を表す創価学会の旗である。

街頭演説会終了後、その人のもとに駆け寄り立ち話をした。現役創価学会員の野原善正さんだった。

2日後の15日、野原さんを含む4人の創価学会員のお話を、じっくり聞く機会を得た。

結論から述べれば、この人たちは、「新基地建設を許さず、誇りある豊かな沖縄をつくろう」という玉城デニー候補への支持を明言する人たちだった。

名護市長選でのゴマカシ

周知の通り、創価学会に支持される公明党は、中央の自公協力関係をそのまま沖縄に持ち込み、辺野古新基地建設強行の姿勢を崩さない安倍政権が丸抱えする佐喜眞淳候補を推薦している。

しかし、じつは公明党沖縄県本部は、辺野古新基地に関しては反対の姿勢を崩してはいない。

2013年暮れに仲井眞弘多知事(当時)が「辺野古埋立承認」をするその直前、公明県本部は、「普天間基地の県外移設を求める提言書」を仲井眞氏に提出した過去を持つ。

しかしその提言書を受け取ってわずか2週間後に、仲井眞氏は自らの「県外移設」の公約も、公明党沖縄県本部の提言も裏切り、辺野古新基地推進に舵を切ってしまった。政府と自民党本部の圧力に負けた。

9月15日、告示日に続いて、野原善正さん(58歳)は、玉城デニー候補の遊説先に三色旗を持って応援に駆けつけた。(撮影/渡瀬夏彦)

公明党沖縄県本部関係者や支持母体の創価学会員の悔しさはいかばりか、と想像したものだ。

翌14年の名護市長選・沖縄県知事選では、さすがに「辺野古反対」の姿勢と相容れぬ自民候補を推薦することはなく、自主投票を選択した。

わたしは18年2月の名護市長選挙の直後に、13年当時の公明県本部幹事長で現在は代表を務める金城勉氏と、SNS(会員制交流サイト)でメッセージのやりとりを私的にしている。公開しても差し支えない内容と判断し、やりとりの一部を抜粋させていただく。

「渡具知新市長が、政策協定書に書かれた『海兵隊の県外・国外移転を求める』公約を守り、断じて辺野古新基地建設を推進させることのないよう、金城さんに歯止めをかけていただきたく、祈る思いです」

とわたしが送ったメッセージに対して、金城代表からはこんな返信があった。

「私の基地問題に関する考え方は従来と変わっておりません。その事を名護市長選挙の政策協定に織り込みました。粘り強く取り組んでまいります」

名護市長選で公明党沖縄県本部が渡具知武豊候補を推薦するに当たっては、苦肉の策として「海兵隊の県外・国外移転」と「日米地位協定の改定」を求めることが政策協定に織り込まれていたのだ。

しかし、その後の渡具知名護市長は、どうだろう。

県外・国外移転を求めるべき海兵隊が使用する辺野古新基地の建設工事の進捗に応じて政府から支給される米軍再編交付金約30億円を受け取り、なんとそれを学校給食費と保育料無料化にあてる決定までした。

これが公約違反の「辺野古新基地建設推進」でなくて何なのか。これほどのゴマカシ選挙も珍しい、という話だ。

給食費や保育料が無料になることに異を唱える保護者がそうそういるとは思えないだけに、なおさら狡猾な「公約違反」ぶりである。

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