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横浜・黄金町で公開された自己規制と戦うアート 
「暗号で話す」とは

桑原和久|2018年10月15日10:38AM

「黄金町バザール2018フライング・スーパーマーケット」は10月28日まで。(撮影/桑原和久)

シンガポールで注目を集めるアーティスト、スピーク・クリプティック(本名ファリズワン・ファジャリ)の作品が、現在横浜市で開催中のアート祭「黄金町バザール2018」で公開されている。国内では初の展示だ。アーティスト名のスピーク・クリプティックは“暗号で話そう”といった意味あいを持つが、これは彼が学生時代に創作したストリート・アートの中に記した言葉に由来する。

「3年から4年かけて自分のドローイングをステッカーにしたものを街灯などに貼り続けたんです」と同氏。その数は1000枚にも上ったという。彼はこの行為を「言いたいことが言えない、自己規制が蔓延している社会を変えようとするキャンペーンだった」と説明する。そしてこの時の作品が美術関係者の目に止まり、彼を含む6人のストリート・アーティストの展示会がシンガポール美術館で開催された。その後、彼は欧州各国で展示を行ない名声を得た。

今年、38歳。同国ではマイノリティのマレー系出身であり、作品に頻繁に登場する男性キャラクターは「マレー系の特徴である彫りの深い顔をした自画像だ」という。作品のアイデアは、自身が観察したあらゆる事件、物語から得ている。「誰かの仕事のことや失恋のこと……いま受けているこの取材だって作品になる」。

開催中のアート祭では5作品群を展示している。上の写真は、彼が宿泊している横浜市の黄金町を流れる大岡川の様子からインスピレーションを得て、地元家屋の壁面に描いた作品。本人は“風景を消費する男”だと説明する。

シンガポールの政治について意見を求めると「どんなことだって政治的だし、それはシンガポールに限ったことではないと思う」という答えが。そして「ぼくは、人々がもっと、いろんな事に意識的になるようにと思って作品をつくっているんだ」と語った。

(桑原和久・ライター、2018年10月5日号)

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