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電動車椅子でのフェリー乗船拒否は「差別」
弁護士会が再発防止求める
片岡伸行|2018年10月18日11:36AM
電動車椅子でのフェリー乗船を拒否された大久保健一さん(42歳)=兵庫県西宮市=からの人権侵害救済申立を受けていた兵庫県弁護士会(藤掛伸之会長)は9月14日、マルエーフェリー(株)(本社・鹿児島県奄美市)に対し「旅行の自由及び平等権を侵害するもの」とし、再発防止を求める「要望書」を出した。
大久保さんは2017年3月16日に沖縄県の那覇港を出港しようとする同社のフェリーを予約し、乗船券の発券を受けて搭乗口まで行ったところ、船内で問題が生じる可能性や安全な下船ができないことを理由に、乗船口の目前で乗船を拒否された。
同弁護士会ではこの乗船拒否の理由について「合理的なものとは認めがたく、また、対応としても乗船拒否以外の手段も考えられた」とし、旅行の自由や平等権を不当に制約する人権侵害行為であったと判断。ただ、同社が大久保さんに説明する場を持ったり、福祉車両の導入やマニュアル整備などの再発防止策を講じていることから警告や勧告ではなく「要望」とした。
障がいを持つ人への「不当な差別的取り扱いの禁止」や「合理的な配慮の提供」などを定めた障害者差別解消法の施行(16年4月)から2年半近くが経つが、飲食店への入店拒否などの事例が後を絶たない。
今回の措置について大久保さんは「差別として認められてよかった」としながらも、障害者差別解消法施行後の行政の対応に格差があるとしてこう問題提起する。
「差別解消法によって今まで相談する場がなかった差別事案も必ず自治体に相談を持ち込めるようになった点は評価できますが、自治体のやる気によって対応がまちまちです。たとえば、兵庫県など話を聞くだけの自治体もあれば、立入調査をしてその後も定期的に調査をしてくれる大阪市や鹿児島県などの自治体もあります。そういった格差が問題だと思います」
また、行政側の「合理的な配慮」をめぐっては、東京五輪予算により改修中の東京都障害者総合スポーツセンター(東京都北区)の屋内工事の改修内容について「問題あり」と指摘。近く東京都庁に出向き、小池百合子知事宛てに要望書を提出する予定だ。
(片岡伸行・編集部、2018年10月5日号)