災害時に問われる「市民メディア」の役割とは
鳥取県で全国集会
岩本太郎|2018年10月22日11:31AM
全国の「市民メディア」が年1回、一堂に会する交流集会「メディフェス」が今年は鳥取県米子市で9月28・29日に開催された。
市民メディアにはインターネット放送からミニFMまでさまざまな運営形態があるが、今回主催した「中海テレビ放送」は地元のケーブルテレビ(CATV)局。海外での先進事例を参考に、1992年には日本の放送局としては初の専用PAC(パブリック・アクセス・チャンネル(=市民制作映像の放送枠)を開設。NPOなど多くの地域団体の運営にも関わるなど意欲的な経営姿勢でも知られ、今回のメディフェスも14年ぶり2回目の開催だ。
2日間で計282人(主催者発表)が参加した今回は主に「ローカルメディア」の役割が議論の中心となった。市民メディアの支援や育成に取り組む元TBSキャスター・下村健一さんらによる講演やトーク、島根県出身で地元紙の記者から独立のうえ現在は地域情報の取材・発信に取り組む田中輝美さんの「ローカルジャーナリスト養成講座」のほか、広島や京都で街を舞台に映像制作に取り組む大学生による事例発表など内容は盛りだくさん。中海テレビ関連会社による、全国のCATV局の放送を常時モニターしつつ災害などの緊急時にバックアップできる映像センターの見学では、その機能の充実ぶりに参加者から何度も驚きの声が上がった。今回の主催者代表で中海テレビ副会長の高橋孝之さんは「放送は目的ではなく手段」と地元地域メディアとしての立ち位置を強調する。
期間中はあいにく台風24号襲来直前となったが、それだけに災害時に市民メディアが果たすべき役割についてのリアルな議論が進んだ。来年の開催地は現時点では未定だが近々決まる模様。おそらく次回も地域の問題解決のための「手段」としての市民メディアの役割が議論の中心となりそうだ。
(岩本太郎・編集部、2018年10月12日号)