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玉城知事、沖縄のチムグクル(まごころ)が辺野古新基地を止める!
2018年11月9日6:29PM
「二人の母」の愛
人としての本物の強さは、優しさの中からしか出てこない、とわたしも常々思っているが、デニー知事の場合、「優しさに裏打ちされた強い心」「チムグクル」「真心」を培ってくれたのは、「二人の母」の愛にほかならない。
二人の母とは、いうまでもなく生みの親と、2歳から10歳まで育ててくれた育ての親のことである。育ての母は3年前に他界しているが、この人は、「ハーフ」だからと外でいじめられて帰ってきたデニー少年に対して、「10本の手の指は、形も長さもみんな違うんだよ。人間もみんな違って当たり前なんだよ」とウチナーグチで教えてくれた。だからデニー少年は、差別されても自らは差別心を抱くことなく、すくすく育った。明るいウーマクー(わんぱく)の少年でいられた。地域の人たちも温かく見守ってくれた。
それが、デニー知事のつくろうとする「沖縄らしい優しい社会」の原風景なのである。
「二人の母」の愛こそがデニーさんのチムグクルをつくったのですね、と念押しをしたとき、デニー知事は、即答した。
「そうですよ。だからわたしはいじめられてもいじめない人間になりました。いじめられる辛さも痛みも知っているから、誰かをいじめることはしなかったんです」
デニー知事は、「母なる愛」についての興味深い話を続けた。
「母系社会と父系社会という考え方がありますね。父系のイメージとしては、狩猟社会がわかりやすい。男は獲物を仕留めないと生きていけない。強くなければ死んでしまう。力で治めていく社会。現代で言えば、成長著しい企業とその社員が社会を引っ張っているというようなイメージ。
けれどもわたしはそういう人たちだけで社会が成り立っているとは思わない。ネイティブアメリカンの社会は母系社会として知られていますが、その温かさ、柔らかさは、大事だと思います。力なんかなくても、あなたはあなたとして生きていていいんだよ、という優しさのある社会。そもそも母なる自然とか、母なる大地という呼び方は、産みたまう存在に対する畏敬とか畏怖の念から来ているんだと思います。
母から生まれてきた人間は、みんな地球のきょうだいじゃないか、と思える。強くなくていい。生きる知恵さえあれば生きていける、生きていていい、というのが世界の母系社会の共通の価値観です。それは沖縄にもある、と思います。つまり『大丈夫よ、何したって生きていけるよ』という感覚が身に染みて育った玉城デニーなんです」
デニー知事はそう言って穏やかに笑った。