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東海第二、再稼働めぐり原電副社長が暴言
「自治体に拒否権ない」
薄井崇友|2018年11月29日12:01PM
「認可できなーい。事故が起きたら責任を取れるんですかー。もっとちゃんと審議してくださーい」
11月7日、東京で開かれた原子力規制委員会(規制委)会合で、今月27日に運転期限40年を迎える日本原子力発電株式会社(原電)の東海第二原子力発電所(茨城県東海村)について、更田豊志委員長が「運転期間20年延長と保安規定変更の認可」の決定を取りまとめると、傍聴席から怒りの声が上がった。
原電は昨年の11月24日に東海第二の運転期間延長を申請した。規制委は一連の審査を終え「今後20年間の運転を想定し問題がない」とした。今後は原電が東京電力などから支援を受け1740億円を工面し、2021年3月を目途に事故対策工事を終え再稼働を目指すが、必ず解決しなくてはいけない問題が山積している。
近隣の各自治体には、原発事故時の避難計画策定の義務があるが、東海第二の30キロ圏内には約96万人が暮らし、計画の策定は困難極まりない。
そして原電と近隣6市村(東海村と日立、那珂、ひたちなか、常陸太田、水戸の各市)は、今年3月に新協定を締結している。再稼働に際しては原電が6市村から事前了解を得る必要があるのだ。
【拒否権なる言葉はない?】
那珂市の海野徹市長は10月に再稼働反対を表明。同市は来年2月に市長選挙があり、海野市長は次期の出馬はしないとしているため、市長の意思を継ぐ候補者を反対派は擁立するだろう。
水戸市議会も6月に再稼働反対の意見書を可決している。工事が遅延すれば費用も増加するのだ。
このような中、原電の和智信隆副社長が報道陣へ「拒否権という言葉は新協定の中にはない」と発言し、6市村から発言の撤回と謝罪を求められている。この発言には「本音がアリアリだ」と非難の声があり、原電と地元の溝が表面化し深まってしまった恐れがある。
運転期間延長が認可された7日、規制委が入る東京・六本木のビルの前で、原発に反対する市民団体らが「認可を撤回せよ。東海第二は廃炉に」と抗議の声を上げた。抗議文と署名1万4671筆(提出済みと合計で2万9231筆)を規制委へ提出している。東海第二運転開始から40年の11月27日午後には「とめよう!東海第二原発首都圏連絡会」主催で東京・千代田区の原電本店前でデモ・包囲が行なわれる(雨天決行)。
茨城県から来た披田信一郎さん(東海第2原発の再稼働を止める会事務局)は、「これまでに延長が認められた原発は加圧水型だ。東海第二は、事故を起こした福島第一原発と同じGE(ゼネラル・エレクトリック)製の沸騰水型で、地震に弱い弱点がある。立地も悪く津波被害の危険性もある。今日、認可はされてしまったが再稼働はすぐにはできない。廃炉に向けて闘い続けていこう」と訴えた。
(薄井崇友・フォトジャーナリスト、2018年11月16日号)