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森友裁判、カギ握る池田靖氏が「心身不調」で出廷できず!?
片岡伸行|2018年12月3日10:04AM
「その手があったか!」
原告の大阪府豊中市議・木村真氏は悔しげにそう声を上げた。
大阪地裁で11月13日に開かれた森友学園への国有地不当売却国家賠償請求訴訟の第11回口頭弁論。前回(9月25日)、証人採用が決まった財務省近畿財務局の前統括国有財産管理官・池田靖氏(現・管財総括第3課長)について、国側の代理人が「池田氏は心身不調のため、出廷できない」と事実上、証言を拒否してきたのだ。
原告側は7月末に、国有地売却の実務責任者・池田氏、買い手の森友学園前理事長・籠池泰典氏を証人申請。これに対し国側は「必要ない」としたが、大阪地裁(松永栄治裁判長)は籠池氏は却下したものの、池田氏については証人採用の方向であると言明した。
池田氏はこの間、森友学園に関与したことが公文書に記されている安倍昭恵氏(安倍晋三首相の妻)や「夫人付秘書」谷査恵子氏らとともに野党側から証人喚問要求が出されていたが、自民・公明両党が拒否。実現すれば初めて公の場で担当実務者が語ることになる。
木村氏が言う。
「池田氏は、森友学園との交渉に当たった実務責任者で、国有地叩き売り事件のキーパーソン中のキーパーソン。裁判で私たちは『売買契約書の金額その他を黒塗り非開示としたのは、ありもしない地中のゴミを口実に、国有地をタダ同然で叩き売ったことを隠すためであり、不当・不法だ』と主張してきましたから、池田氏の証人が認められたことでいよいよ疑惑の解明に近づくと思っていました」
【出勤しながら通院】
ところが、証人尋問の期日を決める段になって「心身不調」だと言い始めた。しかし、原告側が詰めて確認すると「休職中でもなんでもなく、普通に出勤して働いており、通院しているだけだと言うんです」(木村氏)。さらに説明を求めると、国側代理人は「医師の診断書は出すが、プライバシーに関わることなので、どこまで詳しく説明するか検討したい」と述べ、原告側が「心身不調と森友問題は関係しているのか」と聞くと、「関係している」と認めたという。
国側は遅くとも今月中に診断書などの書面を提出するというが、「普通に出勤して働き、通院している」のに「出廷できない」のだとすれば、日本の裁判では今後、同様の症状の人の証人尋問は不可能という前例ができることになる。これはこれで、法曹界にとって由々しき問題だろう。
原告代理人の大川一夫弁護士は「疑惑解明を望む人にとっては『出てこい! 池田』と言いたいところでしょうが、池田氏が本当に尋問に耐えられない病気なのかどうか、国側の書面を見て専門家に確認する必要があります。その上で今後の対応を決めたい」と話す。
木村氏はこう訴える。
「池田氏は言わば“実行犯”であり黒幕は他にいますから(裁判で証言するのに)途方もない重圧を感じているなら気の毒なことだと思います。ただ、公務員が職務上不正を働いたのではないかと強く疑われているのですから、一般市民の『プライバシー』と同列に扱われても困る。心身不調だから仕方がないと引き下がるわけにはいきません。それにしても、別の職員が自死したり、池田氏が心身不調になったりしている中、担当の麻生太郎財務大臣は以前と変わらず軽口を叩いている。まったくもって許しがたい内閣です」
証人尋問の日程が入れば、臨時国会開会中ということもあり、安倍政権にとって致命的となる重要な証言が出てくる可能性もある。地中深くのゴミを確認せずになぜ「1億3000万円を下回る金額にはならない」(公開された音声データ)と言ったのか、安倍昭恵氏らの言動が国有地大幅値引きにどのような影響を与えたのかなど、池田氏が隠さずに証言すべき点は多々ある。早いご回復を。
(片岡伸行・編集部、2018年11月23日号)