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航空宇宙展にミサイルや武装ヘリ 
日本の防衛費5兆円超えの内情とは

新藤健一|2018年12月18日10:22AM

防衛装備庁から開発委託を受けるIHIのブース壁面には自衛隊機のイラストが。(撮影/新藤健一)

11月末、東京ビッグサイト(東京都江東区)で「国際航空宇宙展2018東京」が開催された。国内外から航空、宇宙、防衛産業など520社・団体が出展、3万人が集まった。海外からは日本の安全保障環境を商機ととらえ122社・団体が出展。39%まで増加した。

国際経済に暗雲が垂れ込める今年は航空機業界も再編期にある。一方、政府は12月に改定する「防衛計画の大綱(防衛大綱)」で軍事組織がネットワークへの依存を深めていることを踏まえ、サイバー攻撃に対抗するとして、従来の陸海空の能力に加え「サイバー」「宇宙」「電磁波」の領域を活用した多次元の「領域横断作戦(クロス・ドメイン・オペレーション)」を明記、実現の可能性を探る。また、経済産業省は製造産業局(航空機武器宇宙産業課)を窓口に中小の部品メーカーにも航空宇宙産業への参入を呼び掛けている。これにより2年前に比べ地方自治体や地域企業のブースが一気に増え、その数は16にもなった。展示の内容も「航空宇宙ショー」というよりも「武器商談会」の様相。会場には各国のミサイルや無人機、武装ヘリが所狭しと並ぶ。

防衛装備庁のブースにはミサイル防衛用誘導弾ノーズコーンや装備庁がIHIに委託、研究試作してきた世界トップレベルの将来戦闘機用エンジンXF9(推力15トン、燃焼機出口温度1800度)が展示された。

防衛分野のもう一つのメインテーマは無人機。日本の偵察用無人機の開発は途上にあるため、米ノースロップ・グラマン社製のグローバルホークを3自衛隊共同で運用する前提で導入する。理由は日本向けに製造する部品がなく追加費用がかかり、当初3機分で約510億円と見積もっていた価格が約23%増の約630億円と、あまりにも高額に膨らんだからだ。

【経産省と防衛装備庁が主導】

初日の基調講演で経産省製造産業局の井上宏司局長は「日本にとって航空宇宙産業は非常に重要。平成30年度には3兆円を超えることを期待している」と語る。また「全国各地で、航空機産業クラスターの活発化を広げ、地域ごとに共同受注、取引する体制が整いつつある。従前はサプライチェーンの強化だったが今後は中小企業のクラスターのネットワーク化、テーマ、セミナーの開発、海外展開の支援、ビジネス、マッチング、アジア航空機のサプライチェーンシステム作りが必要」だと抱負を語り、民間と防衛分野との関連では宇宙産業の開拓をする方向を述べ「当面8000億円を目指す」との目標を明らかにした。

また防衛装備庁の深山延暁長官は「我が国を取り巻く状況は領土問題、主権、安全保障などいわゆるグレーゾーンに囲まれています(失笑)。これに対応するには情報収集が必要で兵力の展開でなく、『C3I+情報収集と検索』も重要不可欠。我が国の防衛開発、研究で無人機、レーザー、レーダーも不可欠。またJAXAの衛星には防衛省のシステムも組み込まれ、ミサイル防衛用の超音速誘導弾も完成した」と述べた。今夏、防衛省は19(平成31)年度概算要求を発表。防衛関係費の要求額が前年度予算と比べて7・2%(3538億円)増加の5兆2926億円と過去最高の要求額になった。

ところが国際航空宇宙展会期中の11月29日、『東京新聞』が「米兵器ローン急増 来年度予算圧迫 防衛省、支払い延期要請」という特ダネを放った。防衛省が「高額な米国製兵器の輸入拡大で『後年度負担』と呼ばれる兵器ローンの支払いが急増」「国内防衛企業六十二社に対し」「防衛装備品代金の支払いを二~四年延期してほしいと要請」「異例の事態となっている」と安倍政権に冷や水をかける記事だ。「編成中の19年度予算の概算要求では、要求基準を事実上二千億円超過している」という。

米国の要求を何でも受け入れる安倍政権による米国兵器の輸入拡大が、予算の大幅増にもかかわらず、防衛費を圧迫している実態が鮮明になった。

(新藤健一・フォトジャーナリスト、2018年12月7日号)

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