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財務省がセクハラ理由で「ブラック企業大賞2018」候補に
岩本太郎|2018年12月21日6:19PM
今や年末の「黒い恒例行事」(?)としてすっかりおなじみになってしまった「ブラック企業大賞」の第7回(2018年度)のノミネート企業・団体が、12月5日に発表された。
ジャーナリストや弁護士ら11人の実行委員が合議のもとに今回選出したのは、ジャパンビジネスラボ、財務省、三菱電機、日立製作所・日立プラントサービス、ジャパンビバレッジ東京、野村不動産、スルガ銀行、ゴンチャロフ製菓、モンテローザ――という計9組の企業および団体。「ブラック企業」と銘打ちつつも、今年はテレビ朝日の女性記者に対して取材中に性的な言動を繰り返していた件、およびそれについて担当大臣が「セクハラ(セクシュアルハラスメント)罪という罪はない」などと発言したことが報じられた財務省をノミネート。官公庁が入るのは異例にも見えるが、過去には2014年に東京都議会もセクハラ問題で選ばれ最終的に「特別賞」を受賞した。実行委員の1人である弁護士の佐々木亮さんによれば「官公庁は長時間労働などを理由に毎年のように実行委員会では候補に上がっている」という。
東京都内で語学学校などを運営するジャパンビジネスラボでは、正社員の女性に「正社員に戻れる」との条件で有期雇用への転換を持ち掛けたものの、育休後に正社員復帰を希望したその女性に対して会社は拒否したばかりか「期間満了」を理由に雇い止め。三菱電機ではシステム開発に関わっていた男性社員5人が長時間労働により精神障がいや脳疾患を発症し、うち2人は過労自殺。日立系の2社(親会社と子会社)でも子会社に出向中の20代社員が工事現場で最大月160時間超の長時間残業を強いられたばかりか、別の工場で数百人のフィリピン人技能実習生を不正に働かせていたとして法務省による調査が入った。
【「裁量労働制拡大」への懸念も】
サントリー系列の自動販売機大手・ジャパンビバレッジ東京では、ある労働者の1日10時間を超えた自動販売機の補充などの労働に対して7時間45分の給与しか支払わなかったことについて労働基準監督署が「事業場外みなし労働時間制度」の違法適用だとして是正勧告。しかも同社では支店長が従業員に対して、正解しないと有給休暇が取れない「有給チャンスクイズ」を出すという、まさにブラック・ジョークのようなパワーハラスメントが行なわれていたことがメディアでも報じられた。
チョコレートなど洋菓子の製造・販売で知られる兵庫県神戸市のゴンチャロフ製菓では工場に勤めていた当時20歳の男性が、長時間労働と上司によるパワハラで電車に飛び込み自殺。ミスをすると「牛のえさ、作りに来とんか」と責められ、辞意を申し出ると「お前の出身校からはもう採用しない」と叱られたという。
5日に厚生労働省で行なわれた同賞ノミネート企業発表記者会見では、セクハラ・パワハラや長時間労働の事例報告が跡を絶たないどころかますます社会のあちこちから噴出している実態を憂える声が聞かれた。労働運動活動家の河添誠さんは「最近では裁量労働制を適用されていた労働者の過労死事案が目立つ」として、政府が先に裁量労働制拡大の方針を打ち出していたことへの危惧を表明。
トラック運転手の過酷な労働実態を描いたドキュメンタリー『フツーの仕事がしたい』などで知られる映画監督の土屋トカチさんも「すさまじいパワハラにより若い方が命を落とす事例が多いことに胸が痛む」と辛い心中を吐露。アジア太平洋資料センター(PARC)共同代表の内田聖子さんは「女性の社会進出が言われる一方、まだセクハラなどのひどい実態があり、しかもそれが今年は財務省でも表面化した」と嘆いた。
実行委員会の公式サイト(URL http://blackcorpaward.blogspot.com/)では前述のノミネート企業とその選出理由を挙げた上で、現在ウェブでの一般投票を受付中(12月22日17時締切)。「授賞式」は同23日に東京・文京区の全水道会館で実施の予定だ。
(岩本太郎・編集部、2018年12月14日号)
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