「女性活躍」とジェンダー平等──2030年の達成目指し超党派議連などが集会
宮本有紀|2018年12月26日7:12PM
2015年9月の国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)は16年~30年の15年間で達成するために掲げた目標で、5番目(ゴール5)に「ジェンダー平等を実現しよう」がある。日本でも16年に「持続可能な開発目標推進本部会合」(本部長・安倍晋三首相)が開かれ、指針の一つに「『女性の輝く社会』の実現」を決定している。
しかし「世界経済フォーラム」が毎年発表している男女格差を示す「ジェンダーギャップ指数」が、日本は世界144カ国中114位(17年版)。目標達成にはほど遠いのが現状だ。
そこで、ジェンダー平等実現のための取り組みを加速させようと、UNWomen(国連女性機関)日本事務所、女性活躍を国際的に推進する議員連盟などが12月6日、政治、企業、市民社会などさまざまな立場から議論する「G20、女性活躍、そしてSDGsゴール5へ~ジェンダー・ギャップを解消するために~」を参議院議員会館で開催した。
国連女性差別撤廃委員会前委員長の林陽子氏が「17年のイタリアのサミット(G7)で初めてジェンダー平等のためのロードマップを採択。年金や賃金の差別や女性に対する暴力という課題が全面的に取り上げられた。今年のカナダG7ではトルドー首相がジェンダー平等が主要テーマだと明言し、G7ジェンダー平等諮問委員会が発足。来年のフランスG7でも委員会を継続するとマクロン大統領が明言している」など、世界の動きを評価。一方、残る課題として「女性を政治参画などから遠ざけるステレオタイプへの挑戦、女性の社会進出を阻害する『男らしさ』の規範を変える、性の多様性の認識、職場における暴力の明確な禁止・制裁」などを挙げた。
裁量労働制に関する国会審議での論点をすり替えた答弁が「ご飯論法」として流行語大賞トップテンに入った加藤勝信前厚生労働大臣も出席。「世界から遅れているのが政治参画分野。5月、政治分野における男女共同参画の推進に関する法律が成立し、それをふまえた参院選が来年ある。女性の候補者も擁立していくということで甘利明選対委員長と話をしている」などと論点をそらさず話した。
国連や国会の取り組みは重要だが、そこにどう市民の声を反映させるかも課題だ。国連ウィメン日本協会副理事長の三輪敦子氏が「自分たちに関係のある議題だと気付かない人もいる。会議の場にこられない人たちの声を聞くことが非常に重要」と指摘した。
(宮本有紀・編集部、2018年12月14日号)